この記事の結論
- 集患できない原因はデザインより、入り口・不安解消・予約導線の欠け
- 症状名のページと3タップ以内の予約導線が最も効きやすい
- 制作費の目安は40〜400万円。運用と計測に予算を残す
ホームページは作り直した、写真もきれいに撮ってもらった、それでも新患は増えない。クリニックのホームページで集患できないというご相談は、私のところに来る経営の相談のなかでも特に多いものです。結論から申し上げます。多くの場合、原因はデザインの良し悪しではなく、「検索の入り口」「受診前の不安の解消」「予約までの導線」のどこかが抜けていることにあります。そしてその大半は、医療広告ガイドラインの範囲内で、追加費用をほとんどかけずに直せます。
私は整形外科医として診療を続けながら、複数の法人の経営と、病院・クリニックの経営改善のお手伝いをしております。自院のホームページを制作会社に任せきりにして、数年間ほとんど成果が出なかった経験もあります。ここでは私が実際に見直している箇所を5点に絞ってお伝えします。
なぜクリニックのホームページで集患できないのか
クリニックのホームページにおける集患とは、地域の患者さんに検索で見つけてもらい、掲載内容で受診の不安を解消し、予約という行動まで到達してもらう一連の流れのことです。この3段階のどこか1つが切れていると、他がどれだけ整っていても来院にはつながりません。
実際にご相談を受けたとき、私はまず「見つからないのか、読まれていないのか、予約されていないのか」を切り分けます。切り分けをせずにデザインを作り直すと、費用だけかかって数字が動きません。院長先生が「うちのホームページは古いから」とおっしゃる場合でも、調べてみると検索順位は悪くなく、スマホからの予約ボタンが画面の一番下に埋もれているだけ、ということが少なくありません。
一般に、医療機関のホームページで予約フォームや電話タップまで到達する割合は1〜5%程度が目安といわれます。月に1,000人が訪れて予約が10件なら1%です。ここを2%に引き上げられれば、アクセス数が同じでも新患は倍になります。集客を増やす前に、取りこぼしを止めるほうが早いという理由がここにあります。
よくある誤解
デザインが古いから集患できない。作り直せば新患が増える。
制作費だけが先に出ていく
実際に多い原因
検索の入り口が少なく、来た人が予約に至る導線で脱落している。
文言と配置の修正で改善する余地が大きい
医療広告ガイドライン内で直す5点

1. ファーストビューで「誰の何を診るか」を1行で示す
スマホで開いて最初に見える画面に、診療科名と院名しか書かれていないホームページが本当に多いです。患者さんが知りたいのは「自分の症状をここで診てもらえるのか」の一点です。整形外科であれば「膝の痛み・腰痛・スポーツによるけがを診療しています」のように、扱う症状を具体的な言葉で置きます。ここを直しただけで予約数が変わった例は、私の見立てでは珍しくありません。
2. 症状名のページを作り、検索の入り口を増やす
「地域名+診療科」だけで戦うと、先に開業した近隣の医院と正面からぶつかります。一方で患者さんは「膝 水がたまる」「腰痛 しびれ 病院」のように、症状の言葉で検索します。この入り口が自院のホームページに1つもないと、そもそも見つけてもらえません。
作るページは、症状の説明、考えられる原因、自院での検査と治療の流れ、受診の目安の4項目で構いません。1ページ1,500字程度でも十分です。まずは自院で最も多い主訴を3つ選び、3本作ることをおすすめしております。専門的な内容を患者さん向けの言葉に置き換える作業は、求人票を書くときと考え方が同じです。読み手が知りたい順に並べ替えるだけで伝わり方が変わります(参考:クリニックの求人に応募が来ない理由|今日直せる求人票の書き方)。
3. 院長と院内の情報で受診前の不安を消す
初診の患者さんが最も気にするのは、どんな医師が診るのか、待ち時間はどのくらいか、駐車場はあるか、といった生活に近い情報です。院長の経歴は資格の羅列ではなく、どういう考えで診療しているかを3〜4行添えると印象が変わります。院内の写真は、外観・受付・診察室・トイレ・駐車場の5枚があれば、初めての方の不安はかなり減ります。
4. 予約までを3タップ以内にする
ご自身のスマートフォンで、新患のふりをして予約完了まで進んでみてください。私は経営改善の初回訪問で必ずこれを行います。トップページから予約完了まで5回も6回もタップが必要だったり、電話番号がタップしても発信できない画像になっていたりすることが、かなりの頻度であります。画面の下部に常時表示される予約ボタンを1つ置くだけで、到達率は改善しやすい部分です。
5. 表現を医療広告ガイドラインに合わせる
ホームページも広告規制の対象です。虚偽広告、他院と比べて優良であると示す表現、誇大な表現、患者さんの主観による体験談などは認められていません。一方で、患者さんが自ら求めて閲覧するホームページについては、問い合わせ先の明示などの要件を満たすことで記載できる範囲が広がる仕組み(限定解除)もあります。萎縮して情報を削りすぎると、今度は不安が解消されません。以下は言い換えの方向性です。2026年時点の一般的な考え方として整理していますので、個別の表現は必ず最新の通知内容と、広告表現に詳しい専門家にご確認ください。
| 種類 | 避けたい表現 | 言い換えの方向 |
|---|---|---|
| 比較優良 | 地域No.1の実績/日本一の◯◯ | ◯年開院、年間◯件の◯◯を行っています(客観的な事実で書く) |
| 誇大 | 必ず治ります/絶対に痛くありません | ◯◯の改善を目指した治療を行っています。効果には個人差があります |
| 体験談 | 患者さんの声「すぐ治りました」 | 治療の流れと経過を医学的な説明として記載する |
| 術前術後の写真 | 加工した写真だけを並べる | 治療内容・費用・リスクの説明を併記できるか検討する |
クリニックのホームページ費用はいくらが目安か
ホームページ費用のご相談もよくいただきます。制作費は仕様によって幅が大きく、下記は私が見聞きしている範囲での目安です。同じ金額でも、原稿を誰が書くか、写真撮影が含まれるか、公開後の更新が含まれるかで中身はまったく違います。
クリニックのホームページ制作費の目安
目安。無床クリニックの新規制作の場合。別途、月額の保守費が1〜5万円、更新代行や広告運用を依頼する場合は月3〜10万円程度が加わることが多いです。
私がお伝えしているのは、制作費に予算の全部を使わないことです。ホームページは公開時点が完成ではなく、症状ページを足したり文言を直したりして育てるものです。総予算の2〜3割は、公開後1年の更新と計測のために残しておく。この配分にしておくと、あとから「直したいが追加費用が出せない」という状態を避けられます。
もう一点。集患だけで経営を立て直そうとすると、患者数が増えた分だけ院長とスタッフの負担が増え、続きません。単価と算定の見直しを同時に進めるほうが、体力の消耗が少なく済みます(参考:診療単価を上げる正しい方法|算定漏れを防ぐ5つのチェック)。
直したあと、何の数字を見て判断するか

ホームページの改善は、効果が出るまでに時間差があります。順位の変化は数週間から数か月かかることもあります。だからこそ、感覚ではなく数字で追う必要があります。まずは次の項目を月1回、同じ日に確認してください。アクセス解析の導入が難しければ、最初は問診票の1行と検索結果の目視だけでも構いません。
- 問診票に「当院を知ったきっかけ」の選択肢を追加し、ホームページ経由の新患数を毎月数える
- 「地域名+診療科」「地域名+主な症状名」で検索し、自院が何番目に出るかを記録する
- 月間のアクセス数と、予約フォーム到達数・完了数、電話タップ数
- 自分のスマートフォンで予約完了まで進み、タップ回数と所要時間を実測する
- 症状ページごとの閲覧数(どの主訴で読まれているか)
- ホームページ経由の新患が、2回目以降も継続受診しているか
数字を毎月同じ形で並べておくと、施策の当たり外れが判断できるようになります。経営全体で見る数字の並べ方については、クリニック経営の指標7つ|毎月見る数字表の作り方にまとめておりますので、あわせてご覧ください。
明日から30日で進める手順
すべてを一度に外注しようとすると動き出せません。順番を決めて、院内でできるところから着手するのが現実的です。以下は私が実際にお勧めしている進め方です。
- 1週目:現状を測る
自分のスマートフォンで新患として予約まで進み、詰まった箇所をメモします。同時に問診票へ流入経路の1行を追加し、その日から記録を始めます。 - 2週目:ファーストビューと予約導線を直す
扱う症状を1行で明示し、画面下に固定の予約ボタンを設置します。電話番号はタップで発信できる形にします。制作会社への修正依頼で済むことが大半です。 - 3週目:症状ページを3本用意する
自院で多い主訴を3つ選び、症状・原因・検査と治療・受診の目安の4項目で書きます。院長が話した内容を録音して文字に起こすと早く進みます。 - 4週目:広告表現の点検と計測の開始
比較優良・誇大・体験談にあたる表現がないか全ページを確認し、必要なら言い換えます。合わせてアクセス解析を入れ、翌月から数字を比較できる状態にします。
ここまでで、外注費用が発生するのは修正依頼の部分だけです。数万円から十数万円の範囲で収まることも多く、まず自院で試してから大きな投資を判断できます。
まとめ
クリニックのホームページで集患できないとき、原因はデザインよりも、検索の入り口・不安の解消・予約導線のいずれかにあることがほとんどです。医療広告ガイドラインは表現の枠を定めたものであり、患者さんに必要な情報を届けることを妨げるものではありません。枠の中で、伝えるべきことを具体的に書く。それが遠回りのようで一番確実だと考えております。
まずは今日、ご自身のスマートフォンで自院のホームページを開き、予約完了まで進んでみてください。そこで感じた違和感が、最初に直すべき1点です。
よくある質問
Q. クリニックのホームページを作り直せば集患できますか
A. 作り直しだけでは改善しないことが多いです。検索の入り口、受診前の不安の解消、予約導線のどこが切れているかを先に切り分けると、費用をかけずに直せる部分が見つかります。
Q. クリニックのホームページ費用はいくらが目安ですか
A. 目安としてテンプレート型で40〜60万円、セミオーダー型で100〜150万円、フルオーダー型で250〜400万円程度です。別途、月額の保守費が1〜5万円かかることが多いです。
Q. 医療広告ガイドラインでホームページに書けない内容は何ですか
A. 虚偽、他院より優良と示す比較、誇大な表現、患者さんの主観による体験談などは認められていません。要件を満たせば記載できる範囲が広がる仕組みもあるため、最新の内容をご確認ください。
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