代診医師の探し方と日当相場|私が実際に使う5つのルート

この記事の結論

  • 代診の探し方は医局・知人・求人媒体・紹介会社・自院非常勤の5ルート
  • 代診の費用相場は外来1日8〜12万円が目安。紹介会社経由は上乗せあり
  • 直前手配は割増か不成立。2〜3か月前の依頼と非常勤採用が本筋

「学会に出たいが、そのために外来を閉めるしかない」「熱があっても代わりがいないので、這うようにして診察室に座った」——こうしたご相談を、私が運営する医師のコミュニティでも毎月のようにいただきます。私自身も整形外科の外来を持ちながら複数の法人を見ておりますので、一人体制で代わりが効かない苦しさはよく分かります。

先に結論をお伝えします。代診医師の探し方は「医局・同門」「知人への直接依頼」「医師向けスポット求人媒体」「医師紹介会社」「自院の非常勤医師を先に確保しておく」の5ルートで、費用は外来1日あたり日当8〜12万円が一つの目安です(2026年時点、地域と科目で大きく動きます)。そして一番効くのは、休みたくなってから探すことではなく、平時からルートを二つ以上持っておくことです。以下、私が実際に使っている探し方と相場、契約・届出でつまずきやすい点を順にお伝えします。

目次

代診医師とは何か|非常勤医師・当直医との違い

代診医師とは、院長や常勤医が学会・休暇・急病などで診療できない日に、その日限りで外来や病棟を代わって担当する医師のことです。医師の求人の世界では「スポット」「単発」と呼ばれる働き方に当たります。

これと混同されやすいのが、毎週水曜の午後だけ来ていただくような定期の非常勤医師です。同じ「常勤ではない医師」でも、探し方も費用も、交わす契約書の形も違います。まずは自院に必要なのがどちらなのかを切り分けるところから始めていただきたいと思います。

項目 代診(スポット) 定期非常勤
依頼の頻度 単発・年に数回 毎週◯曜など固定
費用の目安 外来1日8〜12万円 外来1日6〜10万円
手配のしやすさ 直前は難しい 1〜3か月かけて採用
診療の質のばらつき 毎回変わるため出やすい 回を重ねて安定する
向いている場面 学会・急病・冠婚葬祭 院長の定休日づくり

※費用は2026年時点の一般的な目安です。

私の見立てでは、「年に数回の学会だけ埋められればよい」なら代診で足ります。しかし「週に1日は必ず休みたい」「院長が倒れても診療を止めたくない」というご相談であれば、本筋は定期非常勤の確保です。単発を毎回ゼロから探し続けるのは、手間でも費用でも高くつきます。休む仕組みづくりそのものについては開業医が休めない本当の理由|週1日休む仕組みを作る5ステップでも詳しくお伝えしております。

代診医師の探し方|私が実際に使っている5つのルート

※写真はイメージです

1. 出身医局・同門会に相談する

最も確実で、費用も抑えやすいルートです。診療の質が読めること、自院の科目に合った医師が来てくださること、そして万一のときに背景を知っている方が多いことが利点です。一方で、医局側にも人繰りの事情がありますので、直前の依頼はまず通りません。年度の初めに「今年はこの時期に不在にします」と早めにご相談しておくのが作法だと考えております。

2. 同期・知人の医師に直接依頼する

単価も条件も直接決められるため、間に手数料が入らないぶん安く済みます。ただし、貸し借りの関係になりやすく、断りづらさを相手に背負わせてしまう面もあります。私は、知人にお願いする場合でも相場どおりの日当をお支払いし、業務内容を書面で渡すようにしております。関係を長く保つには、身内ほど条件を曖昧にしないことだと感じます。

3. 医師向けのスポット求人媒体を使う

単発の勤務を探している医師が自分で応募してくる仕組みです。掲載型・検索型など媒体によって形は異なりますが、紹介会社より費用を抑えられることが多いのが特徴です。反面、選定と条件のすり合わせを自院で行う必要があり、事務が慣れていないと負荷がかかります。

4. 医師紹介会社に複数登録しておく

スピードと代替手配の力が強みです。一人が急にキャンセルになっても、次を当ててもらえる可能性があります。費用は上乗せになりますが、「明日の外来が空く」という事態を金銭で回避できると考えれば、私は妥当な選択だと思っております。ポイントは、必要になってから登録するのではなく、平時に2社ほど登録し、担当者に自院の診療内容を一度見てもらっておくことです。初動の速さがまるで違います。

5. 自院で非常勤医師を採用し、代診の母数を作っておく

長い目で見て一番効くのがこれです。月に1〜2回でも来てくださる非常勤医師が2〜3名いれば、急な休診の相談先が院内にできます。カルテも動線もご存じですから、当日の混乱もほとんどありません。非常勤医師の採用は求人票の書き方で応募数が大きく変わりますので、クリニックの求人に応募が来ない理由|今日直せる求人票の書き方もあわせてご覧いただければと思います。

このほか、近隣の同科クリニックと相互に代診を引き受け合う形をとっておられる先生もいらっしゃいます。地域での信頼関係が前提になりますが、費用がほぼかからず、患者さんへの説明もしやすい方法です。

よくある誤解

紹介会社に頼めば、前日でも代診は見つかる

「お金を払えば何とかなる」という前提

実際のところ

依頼は2〜3か月前が基本。直前は割増になるか、そもそも成立しない

特に土曜・連休前後・年度末は埋まるのが早い

代診の費用相場はいくらか|日当の目安と上乗せされるもの

ご相談の中で最も多いのが「代診の費用はいくら見ておけばよいか」というご質問です。地域・科目・業務量で幅がありますが、一般に次のあたりが目安といわれます。

代診の日当の目安(外来・当直別)

外来1日(8時間)8〜12万円
外来半日(4時間)4〜6万円
当直(救急対応が多い)6〜10万円
当直(待機中心)3〜5万円

2026年時点の一般的な目安です。地域・科目・患者数・時期により変動します。

ここに、次のようなものが加算されます。相場を見誤る先生の多くは、日当だけで予算を組んでおられます。

  1. 紹介会社の手数料:日当に一定割合が上乗せされる形が一般的です。契約前に総額でいくらになるかを必ず確認します。
  2. 交通費・宿泊費:遠方から来ていただく場合、実費支給が通例です。前泊が必要な地域では宿泊費も見込みます。
  3. 時期による割増:年末年始、大型連休、学会シーズンは条件を上げないと決まりにくくなります。
  4. 時間超過分:終了予定を過ぎた場合の取り扱いを決めていないと、後から揉めます。1時間あたりいくらかを事前に書面化しておきます。

なお、代診医師への支払いについては、雇用契約か業務委託かによって源泉徴収や社会保険の取り扱いが変わります。ここは制度改正もありますので、顧問税理士・社会保険労務士にご確認いただくのが確実です。

代診でよくあるトラブルと、その防ぎ方

※写真はイメージです

費用よりも院内が疲弊するのは、当日の運用が崩れたときです。私のところに寄せられるご相談で多いのは、①直前のキャンセル、②処方や検査オーダーの方針が院長と違い患者さんが混乱する、③電子カルテの操作に慣れず診療が大幅に遅れる、④スタッフへの指示が伝わらず現場が険悪になる、⑤保険診療上の届出や体制の確認が漏れていた、という5つです。

いずれも、当日の相性の問題ではなく、事前に渡す情報が足りないことが原因である場合がほとんどです。私は次の項目を1枚のシートにまとめ、依頼が決まった時点で送るようにしております。

  • 当日の診療時間、休憩、想定患者数(午前◯人・午後◯人)
  • 主訴の傾向と、自院で標準としている処方・検査の方針
  • 「この日は判断しない」ことの線引き(新規の手術適応、長期処方の変更など)
  • 電子カルテの簡易マニュアルと、操作を教えるスタッフの名前
  • 急変時・判断に迷ったときの連絡先(院長の携帯、連携先病院)
  • 医師賠償責任保険の加入状況の確認
  • 報酬・交通費・時間超過・キャンセル時の取り扱いを記した書面
  • 保険医療機関としての届出や体制上の確認事項(地方厚生局に要確認)

特に3つ目の「判断しない線引き」は重要です。代診の先生に自院と同じ判断を求めるのは無理がありますし、患者さんにとっても不利益になり得ます。「その日は継続処方と急性期対応まで、方針変更は院長の診察日に」と決めておくだけで、事故もクレームも大きく減ります。届出や広告の扱いなど法規に関わる部分は一般論に留まりますので、個別の判断は所轄の行政窓口や専門家にご確認ください。

代診を安定させるための5ステップ

最後に、明日から着手できる手順に落とし込みます。ここまでを一度作っておけば、翌年以降は運用するだけになります。

  1. 休む日を先にカレンダーへ置く
    年度初めに、学会・家族の予定・リフレッシュ日を先に確保します。空いた日を埋めるのではなく、休む日から逆算します。
  2. 代診依頼シートを1枚作る
    前章のチェックリストをそのまま1枚のシートにします。一度作れば毎回使い回せます。
  3. ルートを2つ以上に増やす
    紹介会社2社への登録と、医局・同門への年度初めの相談。片方が駄目でも動ける状態にします。
  4. 単価とキャンセル規定を先に決める
    日当・交通費・時間超過・直前キャンセルの扱いを自院の基準として決めておくと、都度の交渉が不要になります。
  5. 初回は院長が在院する日に試す
    いきなり不在の日を任せず、まず院長がいる日に半日入っていただきます。相性と力量を確認できた方から、本番の代診をお願いします。

まず何から手をつければよいか

代診医師の探し方でつまずく先生の多くは、探し方そのものではなく、探し始める時期でつまずいておられます。休みたい日が決まってから動くと、選択肢は紹介会社の直前手配しか残らず、費用も跳ね上がります。

今日できることは二つです。一つは、来年の休みたい日をカレンダーに書き込むこと。もう一つは、紹介会社への登録と、非常勤医師の採用の準備を始めることです。この二つが回り始めると、「代わりがいない」という前提そのものが少しずつ崩れていきます。

体力と気力で埋めてきた穴は、いつか必ず限界が来ます。院長ご自身が疲れを感じておられるなら、院長が疲れたと感じたら|休めない開業医が見直す3つの仕組みもご覧いただければと思います。私も同じ道を通ってまいりましたので、仕組みで解けるところは仕組みで解いていただきたいと願っております。

よくある質問

Q. 代診の費用相場はいくらですか

A. 2026年時点の目安として外来1日8〜12万円、半日4〜6万円、当直は3〜10万円程度です。紹介会社経由では手数料が上乗せされ、交通費や宿泊費も別途必要になります。

Q. 代診はどのくらい前に依頼すべきですか

A. 2〜3か月前が基本です。直前の依頼は条件を上げても成立しないことがあります。学会シーズンや連休前後は特に早く埋まりますので、年度初めの手配をお勧めします。

Q. 紹介会社と知人への直接依頼、どちらがよいですか

A. 費用は直接依頼が安く、確実性とキャンセル時の代替手配は紹介会社が強みです。私は両方のルートを持ち、時期と緊急度で使い分けることをお勧めしております。

Q. 代診医師に来てもらう際、届出は必要ですか

A. 保険診療の体制や施設基準に関わる場合、届出や確認が必要になることがあります。制度は改定されますので、最新の取り扱いを地方厚生局や専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

佐藤雄亮(さとう ゆうすけ)。整形外科医、横浜市立大学医学部2016年卒。医師の不動産株式会社 代表取締役。複数の法人を経営しながら、病院・クリニックの経営改善・再生と事業承継の支援に取り組んでいます。毎月220名以上の医師が参加するコミュニティを運営。著書『初心者からはじめる医師の不動産投資』。

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