「10部屋持つのがミソなんですよ」——この一言を信じてワンルームマンションを10戸買い、破産寸前まで追い込まれた30代・年収1200万円の勤務医がいます。この記事では、私のもとに相談に来られた先生の実例を、ご本人の許可を得たうえで、数字ベースで徹底的に解剖します。
申し遅れました。私は整形外科医として働きながら不動産投資を続け、現在は週1勤務まで本業を減らし、アパート9棟・戸建て5軒、年間の家賃収入は3000万円を超えています。この実績をもとに、毎月200名以上の医師に不動産投資を教えています。だからこそ断言できますが、今回の事例は特別な話ではありません。医師なら誰の身にも起こりうる「あるある」です。
入口は「先輩医師の紹介」だった
相談に来られたのは、30代の勤務医の先生。年収は1200万円で、当直もこなすハードワーカーでした。業者との出会いは、病院への営業電話ではなく「先輩医師の紹介」です。
実は最近、この紹介パターンが一番多い。先輩がやっているなら安心だろう、と警戒心が緩むからです。しかし知っておいてほしいのは、紹介で物件が売れると、紹介した先輩に業者から10万〜20万円ほどのキックバックが入るケースがあることです。しかもその先輩自身が騙されて買っていることも珍しくありません。「先輩の紹介=安全」という等式は、残念ながら成り立たないのです。
担当の営業マンは、何でもやってくれる人でした。忙しいと言えば契約書を病院まで持ってきてくれる。食事は全部おごり。プライベートの話までして仲良くなる。先生は「この人は信用できる」と感じてしまいました。ですが、それはすべて接待です。何回か食事に行ったことと、その人が売る物件の収益性には、何の関係もありません。
私自身も7年前、「病院の税務を担当している者です」という曖昧な名乗りの電話でファミレスに呼び出され、営業を受けた経験があります。税務担当を装って「所得税・住民税、高くないですか?」から入る。手口は今も同じです。
営業トークの解剖①「税金が戻ってきた=儲かった」の錯覚
この先生が最初の1戸を買ったあと、業者はこう言いました。「先生、税金が戻ってきましたよね。それだけ儲かったということですよ」。
ここが最初のトリックです。物件を買った初年度は、不動産取得税や仲介手数料などの初期費用がかさむため、帳簿上は赤字になります。この赤字を給与所得と合算(損益通算)すると、源泉徴収された所得税の一部が還付される。確かにお金は「戻って」きます。
しかし冷静に見てください。還付金は、赤字(=実際の出費)を作ったから戻ってきただけのお金です。100万円使って40万円戻ってきても、60万円は出ていっています。儲けでも何でもありません。ところが業者は「この還付効果は購入初年度しか効かないので、毎年買うのがおすすめです」と続けます。毎年50万〜100万円の還付を「節税の成果」に見せかけて、毎年1戸ずつ買わせる。これが買い増しループの正体です。
営業トークの解剖②「10部屋持つのがミソ」の嘘
ループの仕上げに使われたのが、タイトルにもした「10部屋持つのがミソ」というトークです。
税務上、貸家はおおむね10室規模になると「事業的規模」とみなされ、青色申告の特別控除や家族への専従者給与など、税制上の枠が広がります。業者はこの制度を持ち出して、「中途半端な戸数で終わらせず、10戸まで行きましょう」と畳みかけたのです。
制度の説明自体は嘘ではありません。嘘なのは順番です。事業的規模のメリットは、収益が出る物件を持っていて初めて意味を持ちます。赤字の物件を10戸集めても、赤字が10倍になるだけです。税制の話を「買い増しの口実」に使うのが、この手口の悪質なところです。
結果、この先生は関西の大都市圏で表面利回り5%のワンルームを10戸、契約してしまいました。
5年後の現実——数字で見る「破産寸前」の中身
異変に気づいたのは購入から約5年後、「そろそろ物件を整理しよう」と1戸ずつ査定に出したときでした。出てきた数字はこうです。
- 残債(ローンの残り)2000万円に対し、売却査定は1700万〜1800万円。売るためには1戸あたり200万〜300万円を自己資金で手出ししなければならない
- 家賃が徐々に下落し、当初トントンだった収支が1戸あたり月5000円前後の持ち出しに。10戸あるので毎月5万〜10万円が出ていく
- 持ち続ければ毎月赤字、売れば1戸200万円の損。10戸単純計算で1000万〜2000万円規模の含み損
なぜこうなるのか。カラクリは「表面利回り5%」という数字にあります。表面利回りは年間家賃を物件価格で割っただけの見かけの数字です。仮に2000万円・表面5%なら年間家賃は100万円、月にして約8.3万円。ここから建物の管理費・修繕積立金、賃貸管理料、固定資産税・都市計画税、退去のたびの原状回復費や広告料を引き、さらにローン返済を引くと、新築時の家賃でギリギリトントンが精一杯です。そして家賃は新築プレミアムが剥がれて下がっていく。月5000円の赤字転落は、最初から時間の問題だったわけです。
私が普段扱っている物件と比べてみてください。私の保有物件には、21万円で買った築40年超の戸建てを再生して月5.3万円・利回り30%超で貸しているものや、築50年の長屋6戸を1200万円で買って月18万円・利回り18%で回しているものがあります。表面5%のワンルームとは、スタートラインの数字がまるで違います。利回りの数字そのものより、「返済と経費を引いた後に手元にいくら残るか」で見る——これが投資として成立するかどうかの分かれ目です。
売るに売れない——サブリースと「消えた担当者」
追い打ちをかけたのが2つの壁です。1つ目はサブリース(家賃保証の一括借り上げ契約)。サブリースが付いた物件は買い手側の自由度が下がるため売却しにくく、この先生は今、弁護士や第三者の専門家を入れてサブリース解除の交渉を進めている最中です。
2つ目は、あれだけ親身だった担当者が退職していなくなっていたことです。ワンルーム営業の世界は厳しいノルマの過酷な環境で、担当者の入れ替わりが激しい業界です。いざ相談しようと会社に電話したら、担当は既におらず、高圧的な上司が出てきた——他の先生からも同じ話を何度も聞きます。「信頼できる担当者さん」は、数年後にはいないものと思っておいたほうがいいのです。
この先生の今後は、率直に言えば「損失をいかに抑えるかのゲーム」です。複数戸あるぶん、売却の順番や交渉の工夫で損失を1000万円規模から数百万円規模に圧縮できる可能性はあります。ただ、それには時間もお金もかかります。マイナスをゼロに戻すための戦いは、本当にしんどいものです。
なぜ医師が狙われるのか——3つの弱点
- 多忙で判断力が落ちた瞬間を突かれる。この先生も当直明けの疲れた頭で長い説明を受け、よく理解しないまま契約してしまった
- 性善説の世界で生きている。病院は患者を治すという目標にみんなが向かう組織。しかし一歩外に出れば、営業のための小手先のテクニックが飛び交う世界がある
- 「節税」に弱い。高い所得税・住民税を払っている医師には、節税トークが一番刺さる。しかし減価償却や経費計上は、どんな物件にも付いてくる当たり前の話。節税は物件を選ぶ理由にならない
「税務も全部業者がやってくれるので楽です」と、この先生は当初言っていました。しかし、どの支出が経費になるのか、自分の帳簿がどうなっているのかを把握しないまま「経営者」にはなれません。丸投げの楽さは、騙されやすさと表裏一体です。
ワンルーム以外でも手口は同じ
「ワンルームの悪評はもう知っている」という先生も増えました。しかし、戸建てや一棟アパートでも本質的に同じ手口は使われています。たとえばこんなパターンです。
- 現実には付かない高い家賃をレントロール(家賃一覧表)に載せて、利回りを高く見せる
- 家賃下落をまったく織り込んでいない収支計画で提案してくる
- 「再建築できますよ」——法的には可能でも、車が入らない、セットバックが必要、大きな擁壁の処理に莫大な費用がかかる等で、現実には建て替えが割に合わない物件を勧めてくる
いずれも、不動産投資の知識があれば見抜けるものばかりです。逆に言えば、知識のないまま「この人は信頼できそうだから」で買えば、商品がワンルームでも戸建てでも結果は同じになります。
まとめ
- 「先輩の紹介」は安全の保証にならない。紹介者にキックバックが入る構造すらある
- 初年度の税金還付は「儲け」ではなく、赤字を作った結果の戻り。還付をエサに毎年買わせるのが業者の常套手段
- 「10部屋で事業的規模」は制度としては本当でも、赤字物件を10戸集めれば赤字が10倍になるだけ
- 表面利回り5%のワンルームは、経費と返済を引けば当初からトントンが精一杯。家賃下落で赤字転落し、残債より安くしか売れない「八方塞がり」に陥る
- 判断の軸は表面利回りではなく、返済・経費を引いた後の手残り(キャッシュフロー)と出口(売却)まで含めた総合判断
不動産投資は、きちんとやれば数百万〜数千万円の利益を積み上げられる一方、失敗すれば同じ規模の損失になり、破産に至るドクターも実際にいる世界です。自分で数字を見抜く目を持つこと、そして第三者の目線で判断してくれる、実際に結果を出している人を味方につけること。この2つが、今回の先生のような事態を防ぐ方法だと私は考えています。すでに購入して困っている先生も、損失を抑える手立てが残っている場合があります。一人で抱え込まずにご相談ください。
医師の不動産投資を、正しい順番で学ぶ

「不動産を始めたいけど、どこから始めたらいいかわからない・・」
「やるからには、不動産投資を成功させたい」
そんな思いを抱えている先生のために、医師が不動産投資を最短で成功させるための極意をお伝えします。
- 特典① いなせ式【医師の不動産最短攻略セミナー】を無料公開
- 特典② Amazon売れ筋ランキング1位を獲得した『初心者から始める医師の不動産投資』第1章を無料で読めます
一歩踏み出す勇気がある医師のみ成功する。
不動産投資で人生を豊かにするために、一緒に学んでいきましょう!

