この記事の結論
- 海外不動産投資の最大のリスクは、建築会社や仲介会社が倒産して物件が建たないことです
- 現地に行けない海外物件はごまかされても気づけず、医師にはおすすめしません
- 区分マンションの営業は紹介に形を変え、悪気のない先輩医師を通じて広がっています
整形外科医として働きながら、2019年から不動産投資をしている私の結論からお伝えします。医師が海外不動産に手を出すのはおすすめしません。一番のリスクは、物件がそもそも建たないことです。
今回は、医師の副業の落とし穴をテーマに、ある先生と対談しました。先生のまわりで耳にするのは、節税をうたうワンルームマンション、レバレッジをかけたFXや個別株、そして海外不動産での失敗談だそうです。私は現在、アパート9棟と戸建て5軒を運営し、毎月200名以上の医師に不動産投資の相談を受けています。その立場から、医師がはまりやすい落とし穴を整理します。
海外不動産投資の最大のリスクは「建たないこと」
対談した先生のまわりでは、フィリピンやマレーシアの物件を買った医師が多いそうです。結局うまくいかなかった、建設が止まった、建設は順調でも間に入っていた海外の仲介会社が潰れた、といった話が出ていました。私もフィリピンまで視察に行き、日本でいうブランドマンションのようなファミリー向け物件を見たことがあります。そのうえで、リスクは高いと判断しています。
積み立てたお金が戻らない仕組み
海外不動産でも、物件価格は2,000万〜3,000万円ほどになります。よくあるのは、代金の半分を支払い、残りの半分を3年ほどかけて毎月10万〜20万円ずつ積み立てていく仕組みです。
この途中で建築会社や仲介会社が飛んでしまうと、物件は建ちません。それまで払ってきたお金が没収されるケースも少なくありません。
途中で止まった建物は再開も難しい
建築会社が代われば工事を再開できる、と考えるのは甘いです。後から入る建築会社にとって、途中まで建っている建物はブラックボックスです。どんな構造なのか、どこに弱点があるのか、安い建材が使われていないか。それが分からないまま工事を引き継ぐことになります。
完成後に不具合が出たとき、誰が責任を取るのかという問題もあります。そのリスクに備える分を上乗せするので、建築費は何割か高くなります。そうしないと採算が合わないからです。一度止まった物件は、そのまま駄目になる可能性が高いと考えてください。
現地に行けないことがリスクを大きくする
海外不動産は、まず自分の目で物件を見に行くこと自体のハードルが高いです。何かあってもすぐには現地に駆けつけられません。間に入る業者と顔を合わせて話す機会も限られます。
見に来られない相手だと分かれば、甘く見られますし、ごまかされても気づけません。成長途中の国では、日本とは商習慣が大きく違います。日本の感覚で買ってしまうと、現地で不正をされるリスクを低く見積もりがちです。その結果、法外な修繕費を請求されることもあります。フィリピンでは建築会社の倒産も多く、中国の会社が建てているケースもあります。誰が主導権を握っているのか、買う側からは見えにくい構造です。
普通は、建つ前提で利回りを計算します。建たない可能性まで想定している人はほとんどいません。不動産で大事なのは立地、利回り、そして運営のオペレーションです。それを理解して「これなら大丈夫」と判断できるならまだしも、業者にすすめられた物件をただ買うだけでは、利益が出ても市況に恵まれた運の結果にすぎません。そこに数千万円を投じるのは割に合わないと私は考えています。業者の話をうのみにしないための見方は不動産投資詐欺を防ぐ方法|満室偽装を見抜くポイントにまとめています。
区分マンションの営業は「紹介」に形を変えている
国内でも、ワンルームや1Kの区分マンションで苦しんでいる医師は多いです。私が受ける相談でも、区分を複数持っていて、1戸手放すのに数百万円の自己資金を出さないと売れないという先生が少なくありません。
私が連載している日経メディカルでは、医師7,000人に不動産投資についてアンケートを取りました。病院に営業電話がかかってきた経験がある医師は半分以上でした。対談した先生も、初期研修のころ病院のPHSにたくさん電話がかかってきたそうです。
最近は電話営業の成約率が下がり、業者は紹介に営業の軸を移しています。区分を3〜5戸持つ先輩医師が業者と会食を重ねて「いい関係だ」と思い込み、「後輩を紹介してくれたら10万〜20万円お礼します」と頼まれるパターンです。紹介する先生に悪気はありません。本人も自分がだまされていると気づいていないからです。それでも、紹介した側は後輩からの信用を失います。
まとめ
医師の副業で一番避けたいのは、中身を理解しないまま他人にすすめられた投資に大金を投じることです。海外不動産は、建たない、現地に行けない、業者が見えないという三重のリスクを抱えています。区分マンションも、電話から紹介へと営業の形を変えて医師を狙い続けています。
投資をするなら、自分で確かめられる国内の物件を、立地・利回り・運営の観点で選ぶのが確実です。最初の1棟の選び方は一棟目に買うべき物件の条件|広い間取り・利回り・出口戦略で選ぶで解説しています。医師が不動産投資で失敗しないための考え方は、拙著初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめました。
よくある質問
医師が海外不動産投資をするのは危険ですか?
おすすめしません。最大のリスクは物件が建たないことです。建築会社や仲介会社が倒産すると工事が止まり、積み立てたお金が没収されることもあります。一度止まった物件は再開すると建築費が上がるため、そのまま駄目になる可能性が高いです。
海外不動産の積立金は建築会社が倒産したら戻ってきますか?
戻らないケースが少なくありません。代金の半分を支払い、残りを3年ほどかけて毎月10万〜20万円ずつ積み立てる仕組みでは、途中で建築会社や仲介会社が飛ぶと、それまで払ったお金が没収されることがあります。
医師がワンルームマンション投資の紹介を受けたらどうすべきですか?
すすめられるまま買うのは避けるべきです。業者は電話営業から紹介に軸を移しており、紹介する先輩医師には10万〜20万円のお礼が入る場合があります。区分を手放すのに数百万円の自己資金が必要になる例もあるので、自分で中身を判断できない投資はしないことです。
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