話題のドラマ「地面師たち」を見ました。不動産に関わる人なら、一度は見ておく価値がある作品です。
結論から言うと、地面師はドラマだけの存在ではありません。実際の不動産取引でも、所有者になりすました人物が土地や建物を売却しようとする事件は起きています。しかも、書類や関係者が巧妙に準備されていれば、買主が見抜くのは簡単ではありません。
私は現役の整形外科医として働きながら不動産投資を実践していますが、地面師に騙された経験はありません。ただし、取引に関わった司法書士から、決済直前に地面師を見抜いた実例を聞きました。今回はその事例をもとに、不動産投資家が知っておくべき地面師の怖さと注意点を解説します。
地面師詐欺では失ったお金が戻らない
地面師詐欺の大きな問題は、被害額が数千万円、場合によっては数億円に及ぶことです。騙し取られた資金がすでに使われていたり、海外へ送金されていたりすれば、回収は困難です。誰かが当然に損失を補填してくれるわけでもありません。
不動産は一度の取引金額が大きいため、本人確認を誤ったときの損失も大きくなります。登記や契約の手続きを専門家に任せているから安全だと考えるのではなく、買主自身も取引全体の違和感に目を向ける必要があります。
これは地面師に限った話ではありません。高利回りや節税など、魅力的な条件を前にすると確認が甘くなります。不動産投資で判断を誤る典型例は、年収1200万円の医師が破産危機|不動産投資4つの罠でも解説しています。
司法書士が地面師を見抜いた実例
私が都内で1億1000万円の土地を決済した際、雑談の中で「地面師たち」が話題になりました。すると、その場にいた司法書士が、半年前に地面師と思われる人物と接触した経験を話してくれました。
対象は都内の満室の収益物件でした。満室物件では、買主が室内を確認することは難しく、外観だけで判断する場面もあります。そのため、現地確認だけで本当の所有者かどうかを見抜くことはできません。
売主を名乗る人物は75歳以上で、運転免許証も用意していました。しかし、司法書士が追加の本人確認書類として高齢受給者証の提示を求めると、「今は用意できない」と答えました。ここで司法書士は違和感を持ちました。
さらに物件を訪れた際、本人が自分の車だと説明した車に乗せてほしいと伝えると、「鍵が手元にない」と回答しました。鍵を取りに行く提案にも応じず、話をはぐらかしたため、疑いが強まりました。
司法書士が本当に売主本人なのか追及すると、相手はしどろもどろになり、最終的に連絡が取れなくなりました。追加書類と日常的な所有物の確認が、決済を止めるきっかけになったのです。
買いたい気持ちが本人確認を甘くする
ドラマでは、免許証にライトを当てて確認する場面がありました。しかし、私は実際の取引で、そのような確認を見たことがありません。通常は司法書士や仲介業者が本人確認を行いますが、買主がその過程をすべて見ているとは限りません。
さらに仲介業者まで詐欺に関与していれば、買主側から見抜く難易度は一段と上がります。専門家がいるという事実だけで、無条件に安心してはいけません。
地面師が巧妙なのは、買主の「この物件を逃したくない」という心理を利用する点です。条件の良い物件では売主が優位になります。買主が細かく確認して売主の機嫌を損ねれば、別の買主へ売られるかもしれません。格安で購入できれば大きな利益が見込めるため、確認を遠慮する心理が働きます。
売主から「もういいでしょう」と確認を打ち切るような態度を取られたときこそ要注意です。面倒な買主だと思われたくない気持ちは理解できますが、本人確認を省略する理由にはなりません。好条件の物件ほど一度立ち止まり、書類、受け答え、現地での振る舞いに矛盾がないかを確認します。
魅力的な条件を先に疑う考え方については、千葉県・利回り8%の築浅アパート|買う前に疑う3つの罠も参考になります。
そもそも医師に不利な物件が集まる仕組みは、なぜ不動産投資はやめとけと言われるのか——カモにされる3つの構造で説明しています。
まとめ
地面師詐欺は実在し、不動産投資家にとって無視できないリスクです。免許証がある、仲介業者がいる、司法書士が同席しているというだけでは、完全な安全は保証されません。
重要なのは、追加書類を出せない、所有物を扱えない、質問への回答をはぐらかすといった小さな違和感を放置しないことです。売主に遠慮して確認をやめれば、大きな損失につながります。買いたい気持ちが強いときほど、本人確認と事実確認を徹底します。
不動産投資の基本的な考え方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。ドラマを楽しむだけで終わらせず、自分の取引で同じ違和感が出たときに立ち止まれるようにしておくことが大切です。
よくある質問
地面師はドラマだけの存在ですか?
いいえ、地面師は実在します。実際の不動産取引でも、所有者になりすました人物が土地や建物を売却しようとする事件が起きています。書類や関係者が巧妙に準備されていれば買主が見抜くのは簡単ではなく、不動産投資家にとって無視できないリスクです。
司法書士はどのようにして地面師を見抜いたのですか?
都内の満室の収益物件の取引で、司法書士が追加の本人確認書類として高齢受給者証の提示を求めると、売主を名乗る人物は用意できないと答えました。さらに本人の車と説明した車にも鍵がないと乗車を断り、追及するとしどろもどろになって連絡が取れなくなりました。
地面師詐欺を防ぐために買主は何に注意すべきですか?
司法書士や仲介業者がいるだけで無条件に安心せず、追加書類を出せない、所有物を扱えない、回答をはぐらかすといった小さな違和感を放置しないことです。買いたい気持ちが強いときほど確認が甘くなるため、好条件の物件ほど一度立ち止まって確認を徹底します。
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