年収1200万円の医師が破産危機|不動産投資4つの罠

この記事の結論

  • 年収1200万円の医師でも不動産投資で破産危機に。原因は年収ではありません。
  • 失敗の要因はサブリース・フルローン・高値掴み・節税偏重の4つです。
  • 医師の信用力に頼らず、物件単体の収益力と出口を数字で確認することが基本です。

年収1200万円の医師でも、不動産投資で破産の危機に陥ります。原因は年収の低さではありません。物件の収益力を確認せず、医師としての信用力に依存した投資を進めてしまうことです。

今回取り上げるのは、30代の勤務医が関東のある県で新築一棟アパートを購入し、毎月10万円以上の持ち出しを抱えた事例です。売却にも約2000万円の自己資金が必要な状況となり、破産を検討する段階まで追い込まれました。

私は現役の整形外科医として不動産投資を実践していますが、この投資は絶対にしません。失敗を招いた要因は、サブリース、フルローン、高値掴み、節税偏重の4つです。

目次

サブリースで物件の収益力と出口が崩れた

第一の問題は、サブリースによってユニットエコノミクスが崩れていたことです。通常の管理では、家賃収入の5%程度を管理会社へ支払い、入退去の立ち会いや修繕、入居者対応などを任せます。

一方、サブリースは、オーナーがサブリース会社へ建物を貸し、その会社が入居者へ転貸する契約です。家賃保証という言葉から一定額が長期間入るように見えますが、空室率や賃貸状況の変化に応じて、オーナーへ支払われる賃料が調整される契約もあります。

保証賃料が下がれば、ローン返済や経費を家賃で賄えなくなり、毎月の持ち出しが発生します。さらに、サブリース契約は解除が難しい場合があります。売却時にも買主が同じ契約を引き継ぐ可能性があるため、物件価格が数百万円、場合によっては1000万円ほど下がることがあります。

解除交渉を不動産会社へ依頼し、それでも解決しなければ弁護士への相談や裁判が必要になる場合もあります。契約前には、保証賃料の改定条件、解約条件、違約金、売却時の扱いまで確認すべきです。

フルローンは物件への評価ではない

第二の問題は、少ない自己資金で購入できることを投資の安全性と取り違えた点です。手出しなしで購入できると知った瞬間、物件そのものの価値を冷静に評価しなくなる人がいます。

銀行が融資を出したからといって、優良物件のお墨付きを得たわけではありません。この事例では、銀行が評価したのは物件だけではなく、医師本人の信用力と返済能力です。

融資額ではなく、家賃収入から返済、管理費、修繕費などを差し引いて資金が残るかを見ます。利回りの基本については、不動産投資の利回りとは?4つの種類と計算式・目安をわかりやすく解説でも整理しています。

相場8000万円の物件を1億円で購入した

第三の問題は、明確な高値掴みです。ある先生は、相場が8000万円ほどの物件を1億円で購入していました。きっかけは、インターネットで見つけた不動産セミナーです。

会場では、医師が投資をしないのはもったいないという説明を受け、営業担当者から購入を勧められました。しかし、販売会社の説明だけでは適正価格を判断できません。周辺の売買事例や賃料相場を調べ、販売会社と利害関係のない第三者にも確認する必要があります。

割高な物件をフルローンで購入すれば、売却価格よりローン残高が大きい状態から始まります。サブリースによる価格低下まで重なれば、売却で撤退するために多額の現金が必要になります。融資が通る価格と、売却できる価格は分けて考えます。

節税を目的にすると税金と収益を見誤る

第四の問題は、減価償却による節税を投資の主目的にしたことです。減価償却で会計上の赤字を作れば、所得税や住民税の負担が一時的に軽くなる場合があります。しかし、売却時には減価償却した分が税負担へ影響します。

つまり、減価償却による節税は税金の繰り延べという側面があります。目先の還付だけを見て、出口で発生する税金を計算しなければ、投資全体の損益を正しく判断できません。

不動産投資の中心は節税ではありません。家賃収入による利益と、売却による利益を得られる物件を選ぶことです。節税を前面に出さなければ魅力を説明できない物件は、収益力を慎重に確認します。

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この4つの罠が医師にだけ集中する理由は、なぜ不動産投資はやめとけと言われるのか——カモにされる3つの構造で解説しています。

まとめ

この事例では、サブリースで手残りと売却価格が下がり、医師の信用力を使ったフルローンで割高な物件を購入し、節税効果を利益と錯覚していました。その結果、毎月10万円以上の持ち出しと、売却時に約2000万円が必要な状況が生まれました。

  • サブリースの賃料改定条件と解約条件を確認する
  • 融資承認と物件価値を混同しない
  • 周辺相場と売却価格を第三者に確認する
  • 節税後ではなく、保有から売却までの損益で判断する

医師が不動産投資を始める際の判断軸は、医師の不動産投資の始め方|初心者が持つべき3つの事業家マインドでも解説しています。体系的に学びたい方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)も参考にしてください。

高年収と高い信用力は、失敗を防ぐ保証ではありません。医師の信用力を使う前に、物件単体の収益力と出口を数字で確認することが、不動産投資の破綻を避ける基本です。

よくある質問

高年収の医師でも不動産投資で破産することはあるのですか?

あります。記事では、30代勤務医が新築一棟アパートで毎月10万円以上の持ち出しを抱え、売却にも約2000万円の自己資金が必要になり、破産を検討する段階まで追い込まれた事例を紹介しています。原因は物件の収益力を確認せず、医師としての信用力に依存した投資です。

サブリース(家賃保証)契約の何が危険なのですか?

保証賃料が空室率や賃貸状況に応じて引き下げられ、毎月の持ち出しが発生し得る点です。さらに契約解除が難しい場合があり、売却時に物件価格が数百万円、場合によっては1000万円ほど下がることもあります。契約前に賃料改定条件・解約条件・違約金・売却時の扱いまで確認すべきです。

フルローンが通ったなら良い物件だと考えていいですか?

いいえ。銀行が評価したのは物件だけでなく医師本人の信用力と返済能力であり、優良物件のお墨付きではありません。融資額ではなく、家賃収入から返済・管理費・修繕費などを差し引いて資金が残るかで判断します。

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