不動産投資で継続的に収益を得て規模を拡大するなら、私は法人名義での購入を勧めます。法人は個人より経費の幅が広く、将来的に法人単体で融資審査を受けられる可能性があるからです。
ただし、法人を設立すればどの物件でも儲かるわけではありません。節税効果や表面利回りだけで購入を決めず、売却まで含めた収支と物件固有のリスクを確認することが必要です。
私は現役の整形外科医として診療を続けながら、不動産投資を実践しています。本記事では、個人名義と法人名義の違い、そして買って得する物件を見極めるための考え方を整理します。
個人名義の減価償却だけで物件を選んではいけない
不動産の価格は土地と建物で構成されます。このうち、減価償却できるのは建物部分だけです。購入価格の全額を経費にできるわけではありません。
例えば、2,000万円の物件について、土地1,000万円、建物1,000万円とします。建物を4年で減価償却する場合、年間の減価償却費は250万円です。利回り6%で年間家賃収入が120万円なら、単純計算では差額の130万円が帳簿上の赤字になります。
この数字だけを見ると、所得税や住民税を抑えられて得に感じます。しかし、減価償却は税金が消える仕組みではありません。
4年後や5年後に同じ2,000万円で売却できても、帳簿上は建物部分の価値が減っています。その結果、売却時の利益が大きくなり、後から税金がかかります。保有中に得た節税効果だけでなく、売却時まで含めて判断しなければなりません。
さらに、物件価格が1,500万円や1,200万円まで下がれば、家賃収入以上に資産価値が減る可能性があります。減価償却で一時的に税負担が下がっても、投資全体で赤字になれば意味がありません。詳しくは高所得医師の不動産投資|節税目的では失敗する理由でも解説しています。
不動産投資を法人名義で行う3つのメリット
経費として扱える範囲が広い
法人は、個人よりも経費を活用しやすい点がメリットです。もちろん、事業との関連性がない支出を経費にできるわけではありません。それでも、適切な事業運営を前提にすれば、個人より選択肢が広がります。
売却時期の自由度が高い
個人名義では、売却時に長期譲渡や短期譲渡を意識する必要があります。法人名義なら、この区分に縛られず、自己資金が必要になったタイミングで売却を検討できます。3年程度での売却を含め、資金状況に応じた判断がしやすくなります。
規模拡大に向いている
個人名義で買い進める場合、融資では個人の年収が重視されます。不動産収入が増えた後に勤務を減らし、医師としての所得が下がれば、追加融資が頭打ちになる可能性があります。
設立直後の法人は個人と一体で評価されますが、3期ほど実績を積むと、法人単体の事業として見てもらえるようになります。個人の年収が下がっても、法人の収益と実績を基に融資を受けられる可能性があるため、アパートを1棟、2棟と買い進めたい人には法人が適しています。融資先の基本は不動産投資の1棟目におすすめの銀行|融資先の選び方も参考にしてください。
買って得する物件は利回りだけで判断しない
法人名義は有利ですが、最終的な利益を決めるのは購入する物件です。個人名義でも、良い物件を適正な価格で買えば利益は出ます。反対に、法人名義でも地雷物件を買えば失敗します。
表面利回りが高い物件にも注意が必要です。確認すべきポイントは次のとおりです。
- 将来も価格を維持できる物件か
- 安定した家賃収入を得られるか
- 業者から再建築可能と言われても、本当に再建築できるか
- 高額な修繕費が発生する可能性はないか
- 売却時まで含めた収支が黒字になるか
これらは物件ごとに条件が異なるため、一般論だけでは判断できません。資料の数字を鵜呑みにせず、個別に確認する必要があります。販売業者の説明だけで決めず、実際に不動産投資で成功している人へ相談できる環境を持つことも重要です。
節税を名目に売られる物件が割に合うかどうかは、不動産投資の節税が「嘘」と言われる理由を実例数字で検証した記事を先にお読みください。
まとめ
収益の柱をつくり、将来的な規模拡大を目指すなら、法人名義で不動産投資を進めるメリットは明確です。経費の活用、売却時期の自由度、法人単体での融資評価という点で、個人名義より選択肢が広がります。
一方、法人設立には申請や書類の準備が必要で、法人申告を税理士へ依頼すれば費用もかかります。物件が1つ、2つだけなら、その費用が収益を圧迫する場合があります。保有予定の棟数と今後の拡大方針を決めたうえで選択してください。
そして、法人化以上に重要なのが物件選びです。減価償却による一時的な節税や高い表面利回りではなく、家賃収入、資産価値、修繕、再建築、出口まで確認します。この基準を外さないことが、買って得する物件を見極める最短ルートです。
医師が不動産投資を始める際の基本は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。
よくある質問
不動産投資は個人名義と法人名義のどちらが有利ですか?
継続的に収益を得て規模拡大を目指すなら法人名義が有利です。経費として扱える範囲が広く、売却時期の自由度が高いうえ、3期ほど実績を積めば法人単体で融資審査を受けられる可能性があるためです。ただし法人名義でも物件選びを誤れば失敗します。
減価償却による節税効果だけで物件を選んでもよいですか?
減価償却は税金が消える仕組みではないため、節税効果だけで選ぶべきではありません。保有中に帳簿上の赤字で所得税や住民税を抑えられても、売却時には建物の帳簿価値が減った分だけ利益が大きくなり、後から税金がかかります。売却まで含めた収支で判断することが必要です。
買って得する物件を見極めるには何を確認すればよいですか?
表面利回りだけで判断せず、将来も価格を維持できるか、安定した家賃収入を得られるか、本当に再建築できるか、高額な修繕費が発生する可能性はないか、売却時まで含めた収支が黒字になるかを確認します。条件は物件ごとに異なるため、資料の数字を鵜呑みにせず個別に確認することが重要です。
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