「もし1億円の融資枠があったら、何を買いますか」——不動産投資で融資を語るとき、私はよくこの問いを投げかけます。業者のなかには「東京23区の駅近・新築アパートがベスト」と勧める人もいますが、私の答えは逆です。金利が上昇している今、その”安全そうに見える”選択こそ、私たち高所得者が持つ最大のアドバンテージを自ら捨てる選択になりかねません。この記事では、同じ1億円の融資枠をどう使えば利益を最大化できるのか、私の考え方と具体的な戦略をお伝えします。
申し遅れました。不動産投資メンターのDr.いなせです。私は整形外科医として働きながら6年前に不動産投資を開始し、現在はアパート9棟・戸建て5軒を保有、年間家賃収入は3000万円を突破しました。本業は週1勤務まで減らし、毎月200名以上の医師に不動産投資を教えています。
「都心・新築・築浅」という安全そうに見える罠
なぜ多くの人が都心の新築・築浅物件に飛びつくのか。理由は「手間がかからず、資産価値が安定していそうだから」。それに、なんとなく綺麗なものが好き、都会のほうが安心——そういう気持ちも分かります。しかし、この戦略はいま2つの致命的な現実に直面しています。
現実①:金利上昇で低利回り物件の利益は消し飛ぶ
1つ目は金利です。都心の新築・築浅アパートやマンションの表面利回り(年間家賃÷物件価格の見かけの数字)は、せいぜい5〜6%台というのが近年の相場観です。この低い利回りで1億円、2億円という融資を組むと、金利がわずかに上昇しただけで、返済と経費を引いた後に手元に残るキャッシュフローは容易に吹き飛び、最悪の場合は赤字に転落します。安全どころか、金利の変動に最も弱い危険な投資なのです。(※金利は日銀の政策や各金融機関の判断で変わり続けています。足元では利上げ局面が続いており、具体的な水準は必ずその時点の最新情報を確認してください。)
「中古アパートだって金利上昇の影響はあるのでは?」と思われるかもしれません。ここが大事なポイントで、新築・築浅は融資期間を長く取るのが一般的です。ざっくり言えば、10年で融資を組むのと30年で組むのとでは、金利の影響を受ける期間が3倍違います。融資を長く引いているほど、金利上昇のダメージは膨らんでいく。金利ばかりは自分で操作できない以上、この局面で低利回り×長期融資の物件に手を出すのは、まず避けたい選択だと私は考えています。
現実②:建築費の高騰による高値掴みと「狭くなる間取り」
2つ目は建築費です。建築費が高止まりしている現在、そのコストが上乗せされた新築・築浅は、本質的な価値——特に土地の価値——に対してかなり割高になっています。買った瞬間から、最も急激な資産価値の下落リスクを正面から受けることになるのです。
そして建築費高騰が引き起こしているのが「間取りの縮小」です。都心では40平米前後のコンパクトなファミリー向けマンションが売れるようになるなど、供給される部屋はどんどん狭くなっています。裏を返せば、広い間取りはこれから希少価値が高まっていくということ。子供の部屋、自分の部屋、寝室——家族で暮らすには一定の広さが必要で、その需要が消えることはありません。だからこそ私は、広い間取りの物件を今のうちに確保しておくことをおすすめしています。
「中古は修繕費がかかる」は本当か
「新築は手間がかからない、中古は修繕費が莫大」というイメージを持つ方は多いのですが、築古物件を実際に運営しているオーナーからすると、正直「どこが?」という感覚です。私は築40年前後のアパートから築50年を超える長屋・平屋まで保有していますが、実際に起きる修繕は、トイレの配管からの水漏れや蛇口の交換といった軽微なものが中心です。利回りを高く確保しておけば、この程度の修繕費は誤差の範囲に収まり、実質利回り(経費を引いた後の手残りベース)も高く維持できます。
実例を挙げると、私の物件には築50年の長屋6戸を1200万円で買い、月18万円の家賃で表面利回り18%というものがあります。むしろ新築・築浅のほうが、退去のたびに壁紙や床材の交換は普通に発生しますし、ちょっとした汚れが目立つぶん妥協が利かず、常にパリッと仕上げないと入居が決まりません。築古は入居者さんも含めて「ある程度」で折り合えるので、リフォームもキリのないところまでやり込む必要がない。ここが築古物件の意外な強みです。
入居者の属性で考える——広い間取りが安定する理由
不動産投資で本当に大事なのは「どういう人がその物件に入るのか」という入居者の属性です。私が推奨する広めの間取りのアパートには、まずファミリーが住みやすい。ファミリーは荷物が多く引っ越し費用も高額になるため、引っ越すメリットが乏しく、長く住んでくれます。また、中年の単身の方や年配の方も、生活が安定していて引っ越し自体が大変なので、一度住むと「もうここ以外考えられない」というくらい根を下ろしてくれます。
一方、新しめの駅近アパートに住むのは、単身赴任の方や学生、20〜30代の若い社会人が中心です。若い人は家族構成の変化も多く、2年に1回、4年に1回と頻繁に引っ越します。つまり新しくて狭い間取りの物件は入退去が激しく、広い間取りの物件は入居が長く安定する。多少古くてもいいので広い間取りを獲得していくほうが、経営として断然安定するのです。
1億円は1棟に突っ込まない——分散して2〜3棟へ
では1億円の融資枠をどう使うか。私なら1億円の物件を1棟ドンと買うのではなく、たとえば4000万・3000万・3000万といった形で2〜3棟に分散して買います。理由は次の通りです。
- 災害リスクの分散:立地が分かれていれば、1つの災害で全資産が傷むことはない
- 空室リスクの分散:1億円の物件だと同じ立地に15戸、20戸と同じような部屋が並ぶことになり、満室にするのは実は大変。6戸・8戸のアパートが別々の立地にあるほうが埋めやすい
- 差別化のしやすさ:立地ごとに競合を調べ、内装や設備で差別化すれば、普通に埋まっていく
買うべきは、広めの間取りで利回りが良く、立地もそこそこ良くて地価の下支えがあるアパート。これを分散して2棟、3棟と積み上げていくのが、私のおすすめする融資枠の使い方です。
一棟アパートでも業者に騙される——相談相手を持つ
ただし、物件の選び方は簡単ではありません。ワンルームの区分マンションなら「微妙だ」と気づきやすいのですが、一棟アパートでも、売買をスムーズに進めるためにごまかしたり、嘘をついてくる業者は実在します。知識があれば見破れる罠でも、知らなければ引っかかり、高値掴みしてしまう。不動産は金額が大きいので、騙されれば数百万円、人によっては1000万円単位の赤字になります。誰にも相談せずに買ってしまった結果、そうなっている人を私は何人も見てきました。
だからこそ、不動産投資をきちんと知っていて、熱心に相談に乗ってくれる人を味方につけたうえで始めることを強くおすすめします。
まとめ
- 都心の新築・築浅は表面利回り5〜6%台。金利上昇局面では、低利回り×長期融資が最も危険な組み合わせになる
- 建築費高騰で新築は土地値に対して割高。市場の間取りは狭くなっており、広い間取りは希少価値が上がっていく
- 「中古=修繕費が莫大」は誤解。利回りを高く確保すれば軽微な修繕は誤差で済み、実質の手残りも高く保てる
- 広い間取りはファミリーや中高年が長く住み、入退去の激しい若者向けの狭い部屋より経営が安定する
- 1億円の融資枠は1棟に集中させず、高利回りの広め間取りアパートを2〜3棟に分散して買う
- 一棟アパートでも業者の罠はある。信頼できる相談相手を持ってから動く
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