不動産の価格交渉で重要なのは、ただ安い金額を提示することではありません。売主と仲介会社の事情を読み、安心して取引できる買主だと示したうえで、買付申込書を出すことです。
今回は、元看護師で現在は不動産会社を経営する投資家に話を聞きました。この方は、ポータルサイトに500万円で掲載されていた戸建てを300万円で購入しています。200万円の指値が通った背景には、掲載期間、仲介会社の距離、買主としての信頼という3つの要素がありました。
現役の整形外科医として不動産投資を実践している私も、価格だけを見た交渉では再現性が低いと考えています。指値を通したいなら、相手が取引を進めやすくなる材料を揃える必要があります。
500万円の戸建てを300万円で購入できた理由
この戸建ては以前からポータルサイトに掲載されており、売却まで時間がかかっていました。長期間売れていない物件では、売主側が価格の見直しを検討している可能性があります。掲載された直後の物件と比べ、指値を受け入れてもらえる余地が生まれやすい状況です。
もう一つの要素は、物件を預かる仲介会社が現地から約1時間離れていたことです。価格の低い物件へ何度も案内に行けば、仲介会社には移動時間と対応の負担が発生します。そこで対談相手は外観を確認し、室内を見ずに買付を出しました。
これは、誰でも室内を見ずに購入すべきという意味ではありません。対談相手には、同様の物件を複数購入してきた経験があり、不動産会社を経営する立場でもありました。物件の状態を理解したうえで購入すると伝えたからこそ、仲介会社も取引後のトラブルを過度に心配せず、売主へ買付を提示できたのです。
不動産の指値は買付申込書まで出して成立する
希望価格を口頭で尋ねるだけでは、仲介会社の印象には残りにくいものです。対談相手が重視していたのは、差し値であっても買付申込書を実際に提出することでした。
低い価格を希望する人の中には、申込書を出さない人もいます。その状況で書面をすぐに提出すれば、仲介会社には購入意思のある投資家として認識されます。今回の価格でまとまらなくても、次に似た物件を預かった際、紹介先として思い出してもらいやすくなります。
内覧で会った仲介会社の担当者と話し、条件が合えば価格を提示する。この地道な行動が業者との接点を増やします。不動産投資の価格交渉は、一度だけ得をする駆け引きではなく、次の物件情報につながる関係づくりでもあります。
良い物件情報は業者との関係から生まれる
対談相手は、同業の不動産会社から物件を紹介されて購入することも多いと話していました。紹介された物件を売却するときは、紹介元の会社へ専任で仲介を依頼します。他社で成約した場合にも、紹介元へ仲介手数料と同じ分を渡すことがあるそうです。
目先の手数料だけを考えず、物件を紹介してくれた相手へ利益を返す。その姿勢が、次の情報を優先的に紹介してもらえる関係につながります。価格交渉の技術だけでなく、取引相手にとって付き合う価値のある投資家になることが重要です。
ただし、安く買えれば必ず成功するわけではありません。購入価格と家賃の関係に加え、修繕や管理を含めて判断します。利回りの見方は、不動産投資の利回り基準|表面・実質利回りと間取り条件でも解説しています。
戸建てとアパートは目的に応じて選ぶ
対談相手は、現金で購入できる戸建てを好んでいます。戸建ては小さく始めやすく、入居者が荷物を多く持ち込む傾向があるため、転居のハードルが高いという見方です。私自身も戸建てを所有しており、5年間で一度も退去されていない物件があります。
一方で、規模を広げるスピードではアパートに利点があります。属性を生かして融資を受けられる医師であれば、アパートのほうが保有規模を伸ばしやすい場合があります。戸建てかアパートかを先に決めるのではなく、立地、価格、利回り、融資条件を確認して選ぶべきです。
まとめ
500万円の戸建てを300万円で購入できたのは、強引に値下げを迫ったからではありません。長期掲載されている事実と仲介会社の負担を捉え、外観確認後すぐに買付申込書を提出し、経験のある買主だと伝えた結果です。
- 掲載期間から売却状況を読む
- 仲介会社が抱える案内の負担を考える
- 差し値でも買付申込書を提出する
- 購入経験を伝えて取引後の不安を減らす
- 紹介元へ利益を返し、長期的な関係を築く
指値は金額だけの勝負ではありません。売主と仲介会社が安心して進められる条件を示すことが、不動産の価格交渉を成立させる基本です。基礎から体系的に学びたい方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)も参考にしてください。
よくある質問
500万円で掲載されていた戸建てを300万円に指値できたのはなぜですか?
長期間ポータルサイトに掲載され売主が価格見直しを検討しやすい状況だったこと、仲介会社が現地から約1時間離れて案内の負担が大きかったこと、購入経験を伝えて信頼を示したことの3つが重なった結果で、強引に値下げを迫ったわけではありません。
不動産の指値交渉で買付申込書を出すことが重要なのはなぜですか?
希望価格を口頭で尋ねるだけでは仲介会社の印象に残りにくいためです。低い価格でも書面をすぐ提出すれば購入意思のある投資家として認識され、今回の価格でまとまらなくても、次に似た物件を預かった際に紹介先として思い出してもらいやすくなります。
不動産投資では戸建てとアパートのどちらを選ぶべきですか?
どちらかを先に決めるのではなく、立地、価格、利回り、融資条件を確認して選ぶべきです。戸建ては現金で小さく始めやすく入居者の転居ハードルが高い一方、属性を生かして融資を受けられる医師なら、アパートのほうが保有規模を伸ばしやすい場合があります。
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