不動産投資目的の物件を、自己居住用と偽って住宅ローンで購入してはいけません。不動産会社から「金利が安くなる」「みんなやっている」「銀行にはバレない」と勧められても、最初から他人に貸す目的なら住宅ローンの不正利用です。
しかも、責任を問われるのは不動産会社だけとは限りません。申請した購入者自身も、詐欺や詐欺未遂に関与したと判断される可能性があります。
私は現役の整形外科医として不動産投資を実践していますが、融資は目先の金利だけで選ぶものではないと考えています。不正な方法で一時的に返済額を抑えても、その後の投資と信用に大きな問題を残すからです。
不動産投資目的を隠した住宅ローン申請で何が起きたのか
今回取り上げる事件では、ある県の警察が、不動産投資目的であることを隠し、虚偽の書類を使って住宅ローンを利用させようとした疑いで、会社役員や不動産会社の従業員ら男女7人を詐欺未遂で逮捕しました。
不動産会社側は顧客情報をもとに書類を偽造し、ローン申請を進めていたとされています。顧客の女性が不審に思って金融機関へ連絡したため、融資は実行されませんでした。しかし、この女性も詐欺未遂の容疑で書類送検されています。
重要なのは、融資を受け取っていなくても問題になる点です。「業者に言われただけ」「詳しく知らなかった」という説明だけで、購入者の責任がなくなるとは限りません。
不動産投資では大きな金額が動き、融資の仕組みも複雑です。そのため、知識がないまま営業担当者の指示に従うと、知らないうちに虚偽申請へ加担する危険があります。
住宅ローンの不正利用と転居後の賃貸は別物
住宅ローンは、自分や家族が住む住宅を取得するための融資です。投資用物件に使うアパートローンやプロパーローンなどとは、目的が異なります。
最初から不動産投資を目的としているにもかかわらず、「自分が住む」と偽って住宅ローンを申請し、購入直後から他人に貸す行為は不正利用です。これはグレーではなく、やってはいけない方法です。
一方、当初は本当に自宅として購入して住んでいたものの、その後に家庭環境、介護、教育、健康上の問題など、やむを得ない事情で転居するケースはあります。空いた住宅を売却せず、金融機関に事情を伝えたうえで賃貸に出せる場合もあります。
両者を分けるのは、購入時点の目的と金融機関への説明が事実かどうかです。一定期間だけ住めば自動的に問題がなくなるわけではありません。転居後に貸したい場合も、自分だけで判断せず、融資を受けた金融機関へ事前に相談する必要があります。
「金利が安い」という誘いに乗った場合の代償
住宅ローンを不動産投資に流用する営業では、次のような言葉が使われます。
- 住宅ローンなら金利を1%ほど抑えられる
- 毎月の返済額が数万円変わる
- 同じ方法で買っている人は多い
- 銀行には分からないから大丈夫
金利差が収支に影響すること自体は事実です。しかし、メリットだけを見て虚偽申請を選べば、発覚時には一括返済を求められる可能性があります。信用にも傷がつき、次の投資用融資だけでなく、将来の住宅ローンや借り換えにも影響しかねません。
本来、生活環境の変化によって自宅を住み替え、元の住宅を賃貸に出すことはあり得ます。条件が整えば、住宅ローンが複数になるケースもあります。しかし、一度でも不正利用をすれば、正当な住み替えの選択肢まで狭めることになります。
投資用物件に適した融資の違いを整理したい方は、不動産投資の融資はどの銀行で借りる?金利上昇時代の金融機関5種類を徹底整理も参考にしてください。
不正な融資提案から自分を守る方法
不動産会社から住宅ローンの利用を提案されたら、申請書に記載する居住目的や勤務先、収入などがすべて事実かを自分で確認してください。内容を見せてもらえない、空欄の書類への署名を求められる、金融機関には別の説明をするよう指示される場合は、その場で手続きを止めるべきです。
営業担当者の「大丈夫」ではなく、金融機関が正式に認めているかを直接確認します。不動産会社に都合のよい専門家だけでなく、不動産投資と融資に詳しい第三者へ相談することも必要です。
知識がない状態で大きな借金をする危険については、不動産投資で成功する医師・破産する医師の5つの違いでも詳しく解説しています。
騙される側に回ってしまう構造は、医師がカモにされる構造を実例つきで解剖した記事も併せてお読みください。
まとめ
不動産投資目的を隠した住宅ローン申請は、購入者にも起こり得る詐欺リスクです。最初から賃貸する物件には、投資目的に合った融資を使わなければなりません。
不動産会社に勧められたとしても、虚偽と分かる内容で申請すれば安全にはなりません。金利差よりも、信用を守りながら継続して融資を受けられる状態を優先してください。
融資を含む不動産投資の基本を体系的に確認したい方は、私の著書初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)も参考にしてください。
よくある質問
不動産投資用の物件を住宅ローンで購入してもよいですか?
最初から他人に貸す目的の物件を、自己居住用と偽って住宅ローンで購入することは不正利用であり、やってはいけません。不動産会社に勧められた場合でも、虚偽と分かる内容で申請すれば、購入者自身が詐欺や詐欺未遂に関与したと判断される可能性があります。
融資が実行されなくても、住宅ローンの虚偽申請は罪に問われますか?
融資を受け取っていなくても問題になります。記事で取り上げた事件では、書類を偽造した会社役員や不動産会社の従業員ら7人が詐欺未遂で逮捕されたほか、申請した顧客の女性も融資が実行されないまま詐欺未遂の容疑で書類送検されています。
転居して元の自宅を賃貸に出すことも住宅ローンの不正利用になりますか?
当初は本当に自宅として住み、介護や教育などやむを得ない事情で転居した後に貸すケースは、最初から投資目的を偽る不正利用とは別物です。両者を分けるのは購入時点の目的と金融機関への説明が事実かどうかで、貸したい場合は融資を受けた金融機関へ事前に相談する必要があります。
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