結論から言うと、1,900万円・築30年・表面利回り13%の中古アパートは、条件どおりに運用できれば2年目以降に年間約65万円のキャッシュフローが残る試算です。
さらに1,900万円で購入し、5年後も同じ価格で売却できれば、投入した自己資金は約2.1倍になります。
ただし、表面利回り13%という数字だけで購入を決めてはいけません。空室、管理費、原状回復費、固定資産税、融資返済、売却費用まで含めて判断する必要があります。
私は現役の整形外科医として不動産投資を実践しています。本記事では、あるメンバーから相談を受けた中古アパートを題材に、購入から売却までの収支を具体的に解説します。
築30年の中古アパートは投資対象になる
中古アパートと聞くと、修繕費や空室を不安に感じる方が多いです。一方で、新築や築浅なら安全というわけではありません。
新築や築浅のアパートは、地方でも表面利回り6〜7%、都心部では4〜5%程度になることがあります。ここから金利、空室損、固定資産税、修繕費、管理費、ローン返済を差し引けば、手元に利益が残りにくくなります。
また、新築時の家賃は高く設定されやすく、経年とともに下落します。年間家賃700万円、利回り7%なら物件価格は1億円です。しかし年間家賃が600万円まで下がれば、同じ利回り7%で評価した価格は約8,571万円になります。
築年数が進み、売却時により高い利回りを求められれば、価格はさらに下がります。新築や築浅こそ、家賃下落と売却価格を長期でシミュレーションしなければなりません。
1,900万円・利回り13%の費用を計算する
今回の物件は、価格1,900万円、築30年、軽量鉄骨造、2DK、駐車場付きの中古アパートです。人口と地価は上昇傾向にあり、売却益も検討できる立地でした。
購入時に必要な費用
- 仲介手数料:約66万円
- 火災保険料:5年間で約35万円
- 不動産取得税:約24万円
- 固定資産税・都市計画税:年間10万円強
融資条件は自己資金2割、借入8割、金利1.6%、返済期間15年とします。表面利回り13%のため、満室想定の年間賃料は約247万円です。
運営時に見込む経費
平均入居期間は3年、退去後の募集期間は2カ月、入居率は94.7%と想定します。入居募集の広告費と原状回復費は、それぞれ家賃1カ月分です。管理会社への手数料も家賃の約5%を計上します。
初年度は仲介手数料、不動産取得税、火災保険料などが重なるため、キャッシュフローも帳簿上の収支も赤字になります。これは物件の運営が失敗したからではなく、購入時にだけ発生する費用があるためです。
減価償却による帳簿上の赤字と、実際のお金の増減は分けて確認してください。詳しくは医師の不動産投資は節税になる?減価償却の罠と「本当の節税」を解説でも説明しています。
年間利益と5年後の売却利益
空室損、管理費、広告費、原状回復費、税金、融資返済を反映すると、2年目以降の年間キャッシュフローは約65万円です。月平均では約5万円が手元に残ります。
月5万円だけを見ると、1,900万円の物件としては少なく感じるかもしれません。しかし不動産投資では、毎月の収入に加えて、返済による借入残高の減少と売却時の回収まで見ます。
購入時の諸費用を含め、投入する自己資金を約500万円とします。物件を1,900万円で売却できる前提では、自己資金の回収倍率は次の試算になります。
- 2年目:約1.26倍
- 3年目:約1.54倍
- 4年目:約1.82倍
- 5年目:約2.10倍
5年目には、購入時と売却時の仲介手数料などを考慮しても、約500万円の自己資金が約2.1倍になって戻る計算です。10年後も1,900万円で売却できれば約3.56倍、売却価格が1,500万円まで下がっても購入から売却までの利益は約970万円という試算になります。
もちろん、同じ価格で売却できる保証はありません。だからこそ、人口動向、地価、土地の価値、間取り、接道、市街化区域か市街化調整区域かといった条件を購入前に確認します。
築古の罠と勝ち筋については築古アパートの3つの罠と勝ち筋で詳しく書いています。
まとめ
中古アパートの収益性は、表面利回りではなく、購入費用、運営経費、融資返済、売却価格を通した全体収支で判断します。
今回の築30年・1,900万円・利回り13%の物件は、2年目以降に年間約65万円が残り、5年後の売却まで含めると自己資金が約2.1倍になる試算でした。高い利回りと、将来も売却できる土地・建物の条件が両立していることが重要です。
融資を使った物件取得では、目先の借入可能額ではなく、次の投資に残す与信も考えます。不動産投資の融資枠1億円をどう使う?金利上昇時代の分散戦略もあわせてご覧ください。
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よくある質問
築30年・1,900万円・表面利回り13%の中古アパートの利益はどれくらいですか?
2年目以降は年間約65万円のキャッシュフローが残る試算です。さらに5年後も購入時と同じ1,900万円で売却できれば、約500万円の自己資金は約2.1倍になります。ただし空室や経費、融資返済、売却費用まで含めた全体収支で判断する必要があります。
新築や築浅のアパートなら中古より安全ですか?
安全とは限りません。新築や築浅は表面利回りが地方で6〜7%、都心部で4〜5%程度と低く、金利や空室損、税金、修繕費、管理費、ローン返済を差し引くと利益が残りにくいです。家賃も経年で下落するため、売却価格まで長期でシミュレーションする必要があります。
中古アパートの購入初年度に収支が赤字になるのはなぜですか?
仲介手数料、不動産取得税、火災保険料など購入時にだけ発生する費用が重なるためで、物件の運営が失敗したわけではありません。減価償却による帳簿上の赤字と、実際のお金の増減は分けて確認することが大切です。
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