築浅アパートの物件資料を見るときは、築年数の新しさや想定利回りだけで購入を判断してはいけません。道路の権利、都市計画、駐車場の有無、実際の入居状況、家賃下落後の売却価格まで確認する必要があります。
今回は、ある先生から相談を受けた千葉県の築浅アパートを例に、物件資料の見方を解説します。私は現役の整形外科医として不動産投資を実践していますが、融資が出やすい築浅物件ほど、出口まで数字で検証することが重要だと考えています。
物件資料では土地と道路を最初に確認する
今回の物件は、価格1億100万円、駅徒歩14分、土地面積約180平米、建物面積約284平米の木造3階建てアパートです。土地権利は所有権、地目は宅地で、土地は平坦です。ここまでは大きな問題がありません。
次に確認したいのが接道状況です。物件の前面道路は公道で、幅員も約6メートルありました。不動産投資では、建物そのものだけでなく、前面道路の種類と権利関係が重要です。
前面道路が私道なら、私道持分の有無を必ず確認してください。持分がなければ、建物の解体や再建築で道路を使う際に、所有者から承諾を得なければならない可能性があります。使用を認められなければ、再建築に支障が出ます。
私道持分を一部でも所有していれば、道路を使う権利があります。初心者は公道に接している物件、または私道持分がある物件に絞るべきです。
都市計画と賃貸需要を物件概要から読む
初心者は市街化区域を選ぶ
今回の物件は市街化区域にあり、建ぺい率60%、容積率200%、用途地域は第一種住居地域です。これらに目立った問題はありません。
一方、市街化調整区域の物件は、初心者の1棟目には勧めません。現在アパートが建っていても、解体後に同じ住宅用途で再建築できるとは限らないからです。申請が必要となり、認められない可能性もあります。
用途地域は、工業地域や商業地域だから一律に悪いわけではありません。建ぺい率や容積率が高く、大きな建物を建てやすい場合もあります。地域名だけで判断せず、その土地で何が建てられるのかを確認します。
駅徒歩14分で駐車場なしは弱点になる
この物件はワンルームと1Kで構成された単身者向けアパートですが、駐車場がありません。駅徒歩14分であれば、学生や社会人の入居者にとって駐車場がある方が便利です。築浅で設備が整っていても、立地と間取りに対して必要な付帯設備が欠けていれば、入居募集で不利になります。
オートロックや宅配ボックスは評価できます。プロパンガスも、それだけで欠点とは判断しません。給湯器が故障した際にガス会社が無償対応する場合があり、オーナーの負担を抑えられることがあるためです。ただし、ガス会社との契約内容は個別に確認します。
想定利回り7.15%をそのまま信用しない
今回の資料には想定利回り7.15%と記載されています。しかし、想定利回りは実際に得られている収入とは限りません。築浅物件なのに「現況利回り」や「満室利回り」ではなく「想定利回り」と書かれているなら、空室がある可能性を確認します。
物件概要書とは別に、各部屋の入居状況と賃料が分かるレントロールを必ず取り寄せてください。仲介会社にも、現在の空室数、各戸の賃料、入居時期を問い合わせます。
さらに注意したいのが新築プレミアムです。築後2年、3年と経過すると、当初の高い家賃を維持できず、賃料が下がることがあります。年間家賃収入が約820万円から750万円、700万円へ下がれば、同じ利回りで売却するとしても売却価格は下落します。
利回り7.15%の全額が手元に残るわけでもありません。金利、元金返済、固定資産税、空室損、入居付けをする業者への費用などが差し引かれます。低利回りの物件は、返済期間を30年程度に延ばさなければキャッシュフローが出にくい場合があります。
返済期間を長くすると、残債の減り方も遅くなります。将来の売却価格が残債を下回れば、売却時に自己資金の持ち出しが必要です。融資が出ることと、安全に利益を残せることは別問題です。融資枠と物件選びの関係は、不動産投資の融資枠1億円をどう使う?金利上昇時代の分散戦略でも詳しく解説しています。
まとめ
築浅アパートの資料では、公道か私道持分付きか、市街化区域か、間取りと駐車場が需要に合うか、レントロール上の収入はいくらかを確認します。そのうえで、家賃が下落した場合のキャッシュフロー、売却価格、残債まで計算してください。
築浅だから安全、フルローンが出るから買い時とは言い切れません。価格上昇だけを期待する投資は運に左右され、再現性が低くなります。物件資料を具体的に検討し、自分の購入基準を固めることが不動産投資の土台です。
初心者が押さえるべき考え方は、拙著初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。
よくある質問
築浅アパートは築年数の新しさや想定利回りだけで購入を判断してよいですか?
築浅や想定利回りの高さだけで判断してはいけません。前面道路の権利、都市計画、駐車場の有無、レントロールで分かる実際の入居状況に加え、家賃が下落した場合のキャッシュフローや売却価格、残債まで数字で検証してから購入を判断する必要があります。
前面道路が私道の物件では何を確認すればよいですか?
私道持分の有無を必ず確認します。持分がなければ、建物の解体や再建築で道路を使う際に所有者の承諾が必要となる可能性があり、認められなければ再建築に支障が出ます。初心者は公道に接する物件か、私道持分がある物件に絞るべきです。
物件資料に書かれた想定利回りはそのまま信用してよいですか?
想定利回りは実際に得られている収入とは限らないため、そのまま信用してはいけません。レントロールを取り寄せて空室数や各戸の賃料を確認し、新築プレミアムが切れて家賃が下がる可能性や、金利や税金などを差し引いた手残りまで検討する必要があります。
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