中古アパート投資では、毎月の手取りだけを見て収益性を判断してはいけません。今回取り上げる1,800万円、築35年の中古アパートは、2年目以降の年間キャッシュフローが約50万円台です。しかし、融資返済による残債の減少と売却まで含めると、投入した自己資金は5年後に1.92倍、10年後には3.27倍になるシミュレーションです。
私は現役の整形外科医として不動産投資を実践しています。医師は多忙だからこそ、表面利回りや営業担当者の説明ではなく、購入費用、運営経費、融資返済、売却価格を数字で確認する必要があります。本記事では、メンバーの先生が購入した物件の実例をもとに、中古アパートの年間手取りと利益の考え方を解説します。
1,800万円の中古アパートを購入した条件
今回の物件は、価格1,800万円、築35年、軽量鉄骨造の中古アパートです。自己資金は物件価格の20%、金利は1.5%、融資期間は15年で設定しています。年間の想定家賃収入は234万円です。
購入時には物件代金以外にも資金が必要です。仲介手数料は3%+6万円、火災保険は約20万円、敷金の引き継ぎは30万円、固定資産税は約20万円として計算しています。これらを含め、最初に投入する自己資金は約460万円です。
賃貸運営については、平均入居期間を4年、退去から次の入居までを2カ月と想定しました。入居者募集の広告費と原状回復費は、それぞれ家賃2カ月分です。管理費は家賃の約5%とし、消防点検などの定期的な費用も年間4万円で計上しています。
中古と新築の選び方については、医師の不動産投資、1棟目は新築か中古か?でも詳しく解説しています。
年間手取りは約50万円台になる
年間234万円の家賃収入が、そのまま手元に残るわけではありません。空室損、管理費、広告費、原状回復費、固定資産税、融資の元金と金利を差し引く必要があります。
このシミュレーションでは、空室による損失を約13万円、広告費と原状回復費を合計9万3,600円、融資の元金返済を約86万円、金利支払いを約21万円、固定資産税を20万円としています。減価償却費は106万円です。
購入初年度は仲介手数料や不動産取得税などが発生するため、キャッシュフローはマイナスになります。一方、2年目以降は約56万円、54万円、53万円と、年間50万円以上のプラスを維持する計算です。月額に直せば4万円台であり、家賃収入の印象と比べて少なく感じるかもしれません。
しかし、元金返済分は毎年残債を減らしています。年間手取りだけを不動産投資の利益と考えると、この資産形成効果を見落とします。
本当の利益は融資返済と売却で決まる
この物件を5年後に購入時と同じ1,800万円で売却できた場合、約460万円の自己資金は1.92倍になる試算です。ランニングコスト、税金、売却時の仲介手数料などを考慮しても、自己資金に対して約420万円が増える計算になります。
10年後に同じ価格で売却できれば、自己資金は3.27倍です。最初に投入した約460万円に対し、約1,040万円増えた状態で戻る想定です。年間キャッシュフローに加えて、融資返済による残債の減少が売却時の利益につながります。
ただし、この結果は10年後も同じ価格で売れることを前提としたシミュレーションです。したがって、購入時から出口戦略を考えなければなりません。
- 収益物件として売却する
- 建物を解体して更地で売却する
- 解体後に新築を建てる
- 融資完済後も保有して家賃収入を得る
複数の出口を選べる物件が有利です。築年数が進んでも土地の価値が残る立地であれば、更地として売る選択肢も持てます。私は5年後、10年後に価値が大きく落ちない物件を選ぶことが重要だと考えています。
中古アパートは利回りだけで選ばない
中古アパートは新築や築浅物件より利回りが高く、築20年を超えると家賃の下落幅も緩やかになるため、長期の収支を想定しやすい特徴があります。一方で、長期入居者の退去時には家賃1年分から1年半分ほどのリフォーム費用が必要になる場合があります。和室の洋室化や水回りの交換が重なるケースもあるため、修繕費を無視した計算はできません。
重要なのは、表面利回りだけで購入を決めず、空室、管理、募集、原状回復、修繕、融資返済を含めて判断することです。失敗につながる判断については、医師の不動産投資はなぜ失敗するのかも参考になります。
計算式の前提は利回りの4種類と正しい計算式にまとめています。
まとめ
1,800万円の中古アパートは、年間手取りだけを見ると約50万円台です。それでも、15年間の融資返済によって残債が減り、購入時と同じ価格で売却できれば、自己資金は5年後に1.92倍、10年後に3.27倍となる試算です。
不動産投資の利益は、毎月のキャッシュフロー、残債の減少、売却価格の3つで判断します。購入前に諸経費と修繕費を織り込み、複数の出口戦略を持てる中古アパートを選ぶことが重要です。
融資や物件選定を含めた基本は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)でも体系的にまとめています。
よくある質問
1,800万円の中古アパート投資では、年間手取りが約50万円台でも利益は出るのですか?
年間手取りは約50万円台ですが、融資返済で残債が毎年減るため、購入時と同じ1,800万円で売却できれば自己資金約460万円は5年後に1.92倍、10年後に3.27倍になる試算です。利益は毎月のキャッシュフロー、残債の減少、売却価格の3つで判断することが重要です。
1,800万円の中古アパートを購入するには、自己資金はいくら必要ですか?
この事例では物件価格の20%の頭金に加え、仲介手数料3%+6万円、火災保険約20万円、敷金の引き継ぎ30万円、固定資産税約20万円が必要で、最初に投入する自己資金は約460万円です。金利1.5%、融資期間15年、年間家賃収入234万円の条件で計算しています。
中古アパート投資で表面利回り以外に注意すべき費用は何ですか?
中古アパートは新築より利回りが高い一方、長期入居者の退去時には家賃1年分から1年半分ほどのリフォーム費用が必要になる場合があります。和室の洋室化や水回りの交換が重なるケースもあるため、空室、管理、募集、原状回復、修繕、融資返済まで含めて判断することが重要です。
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