新築の都心駅近物件は危険?|低利回りで赤字になる理由

結論から言うと、新築の都心駅近物件を「立地が良いから」という理由だけで買ってはいけません。

都心駅近は入居者を募集しやすく、土地の価値も落ちにくい傾向があります。しかし、不動産投資の成否は立地だけでは決まりません。購入価格、利回り、融資条件、運営費、税金、売却価格まで含めて収支が成立するかどうかで決まります。

私は現役の整形外科医として診療を続けながら、不動産投資を実践しています。新築物件には管理しやすさなどの利点がありますが、都心駅近の新築は価格が高くなりやすく、低利回りによって手残りが消える危険があります。

目次

新築の都心駅近物件が魅力的に見える理由

都心駅近の物件には、分かりやすい魅力があります。

  • 交通アクセスが良く、入居者が決まりやすい
  • 人気エリアの物件を所有する満足感がある
  • 土地の価値が下がりにくく、上昇する可能性もある
  • 高い家賃収入を得られそうに見える

これらは完全な誤りではありません。特に土地の価値は、不動産投資における重要な判断材料です。

ただし、良い立地と良い投資は同義ではありません。どれほど立地が良くても、業者の利益が上乗せされた価格で購入し、利回りが低ければ、毎月の収支は成立しません。

区分マンションでは、同じ建物内に似た間取りの部屋が複数あるため、相場が分かりやすくなります。その分、相場より大幅に安く買うことは困難です。新築区分には複数の業者の利益も含まれやすく、都心では利回りが4%や5%という水準になることがあります。

利回り5%でも手元に利益が残らない仕組み

新築の一棟アパートでも、低利回りの問題は同じです。表面利回りが5%あり、融資金利が2%前後なら、単純計算で家賃収入のうち2%分が金利で消えます。

残りの3%から、さらに次の費用を支払います。

  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 空室期間の家賃損失
  • 入居者募集の手数料
  • 原状回復費や将来の修繕費
  • 借入元本の返済

30年融資なら、元本返済は単純計算で年3.3%相当です。35年融資でも3%弱になります。利回り5%の物件では、金利と元本返済だけで家賃収入の大部分が消える計算です。そこへ運営費と税金が加われば、赤字になる可能性は高まります。

減価償却も万能ではありません。減価償却できるのは建物部分であり、土地部分には使えません。都心駅近は物件価格に占める土地の割合が大きくなりやすいため、期待したほど帳簿上の経費を作れない場合があります。

不動産所得が黒字になれば税金もかかります。家賃がそのまま手取りになるわけではありません。税引き後の資金から元本を返済するところまで確認して、初めて実際のキャッシュフローが分かります。

業者の収支シミュレーションをそのまま信じない

販売業者が提示する収支シミュレーションだけで購入を決めるのは危険です。家賃が35年間変わらない、物件価値が下がらない、空室や修繕費を十分に見込んでいないといった前提では、現実の収支を判断できません。

少なくとも、家賃下落、空室、募集費、修繕費、固定資産税、保険料、減価償却、所得に対する税金を反映させる必要があります。

節税を理由に低利回りの区分マンションを買い進め、複数戸を所有してから問題に気づく例もあります。売却価格がローン残債を数百万円下回れば、複数戸をまとめて処分すると損失が大きくなります。節税効果ではなく、購入、運営、売却を通じた最終利益で判断してください。

区分マンションの節税提案を受けている方は、不動産投資の節税は嘘か、ワンルームの実例で検証した記事も参考になります。

新築プレミアム消失後の出口まで確認する

新築物件は、築3年、築5年と時間が経てば新築ではなくなります。新築プレミアムがなくなると家賃が下がり、利回りから逆算される売却価格も下落する可能性があります。

一方、30年や35年の融資は元本の減少が緩やかです。売却価格が下がっているのに残債が十分減っていなければ、売りたくても売れない状態になります。フルローンやオーバーローンが出ることは、物件の収益性を保証しません。

不動産投資の利益は、購入、運営、売却の3段階で決まります。購入時に安く買うだけでなく、保有中の収支を守り、残債以上で売却できる出口を準備する必要があります。

新築と中古の選び方を整理したい方は、医師の不動産投資、1棟目は新築か中古か?もご覧ください。

あわせて読みたい

手残りまで見る指標については、表面・実質・ROI・CCRという4つの利回りの使い分けで解説しています。

まとめ

新築の都心駅近物件は、立地ではなく実質収支で判断します。利回りから金利、元本返済、運営費、税金を差し引き、新築プレミアムがなくなった後の家賃と売却価格まで検証してください。

もちろん、新築でも買う価値のある物件はあります。ただし、土地と建物は一つとして同じものがありません。土地価格、建築単価、家賃相場、ランニングコスト、融資条件を資料ごとに確認し、必要なら現地も調査したうえで判断します。

不動産投資の基本を体系的に整理したい方は、私の著書初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)も参考にしてください。

よくある質問

新築の都心駅近物件は立地が良ければ買っても大丈夫ですか?

立地の良さだけを理由に購入してはいけません。都心駅近は入居者を集めやすい一方で価格が高く低利回りになりやすく、金利や元本返済、運営費、税金を差し引くと手残りが消える危険があります。購入から売却まで含めた実質収支で判断することが必要です。

表面利回り5%の新築物件でも赤字になるのはなぜですか?

融資金利が2%前後なら家賃収入のうち2%分が金利で消え、30年融資では元本返済が年3.3%相当になります。そこに固定資産税や保険料、空室損失、修繕費などの運営費と税金が加わるため、利回り5%では収入の大部分が消えて赤字になる可能性が高まります。

新築プレミアムがなくなった後にはどのようなリスクがありますか?

築3年、築5年と経過して新築プレミアムがなくなると家賃が下がり、利回りから逆算される売却価格も下落する可能性があります。30年や35年の融資は元本の減少が緩やかなため、売却価格が残債を下回り、売りたくても売れない状態になる恐れがあります。

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