新築ワンルームマンション投資は、私はおすすめしません。表面上は始めやすく見えますが、低い利回り、長期融資、家賃下落、売却先の狭さが重なると、保有中も売却時も資金を持ち出す構造になりやすいからです。
特に医師は、所得税や住民税の負担を意識する機会が多く、「節税になる」「フルローンで購入できる」「サブリースがある」といった営業を受けやすい立場です。しかし、融資が通ることと、投資として利益が出ることは別問題です。現役の整形外科医として不動産投資を実践する私が、新築ワンルームマンション投資の危険性を具体的に解説します。
新築ワンルームマンション投資が医師に売られる理由
新築ワンルームマンション投資とは、ワンルームや1Kなどの狭い間取りを区分所有し、入居者から家賃を得る手法です。広い部屋よりも一棟の建物内に多くの部屋を設けられるため、商品としての供給量が多く、販売を手掛ける業者も多くなります。
医師には病院へ営業電話がかかってくることがあります。節税や所得税、住民税の話から入り、減価償却やサブリースを組み合わせてメリットを説明されるのが典型です。税金の仕組みは複雑なので、営業担当者の説明だけを聞くと合理的な提案に見えます。
しかし、減価償却による節税は、将来払う税金を先送りしているにすぎない場合があります。節税だけを購入理由にしてはいけません。この点は高所得医師の不動産投資|節税目的では失敗する理由でも詳しく解説しています。
新築であることの安心感に加え、価格が2,000万〜3,000万円程度なら、5,000万円や1億円のアパートより手を出しやすく感じます。属性が良ければ融資も受けやすく、自己資金をほとんど使わず始められることもあります。ただし、銀行は購入者の与信を見て融資しているのであり、物件の収益性が高いと保証しているわけではありません。
利回り4%では家賃下落に耐えられない
購入価格2,000万円、利回り4%の新築ワンルームを考えます。年間家賃収入は80万円です。2,000万円をフルローンで借り、返済期間を30年または35年とすると、年間返済額は約70万円になります。
この時点で手残りは年間10万円しかありません。そこから火災保険、固定資産税、空室期間の損失、入居募集時の仲介手数料や広告費を支払います。満室でも収支は良くてほぼゼロであり、退去が発生すればすぐに赤字です。
返済期間が10年や15年で、元金が速いペースで減る高利回り物件なら、手元のキャッシュフローが少なくても考え方は変わります。しかし、35年返済で収支がほぼゼロの物件は危険です。借入残高が減る速度が遅いうえ、家賃の下落に耐える余白がないからです。
新築時の家賃には新築プレミアムが含まれます。同じようなワンルームや1Kが供給され続ければ、築年数とともに競争力が落ち、家賃を下げざるを得ません。年間家賃が80万円から70万円になれば、返済だけで収入が消えます。60万円まで下がれば、経費を入れる前から年間10万円の持ち出しです。
売りたいときに売れない出口の罠
ワンルームや1Kは間取りが狭く、物件ごとの差別化が難しい商品です。クロスや照明を変えることはできますが、築年数の経過や狭さそのものは変えられません。競争力が低下すれば、家賃の下限も広い間取りより低くなります。
さらに、売却先は基本的に投資家です。家族が自宅として購入する間取りではないため、買い手は家賃と利回りから価格を逆算します。家賃が下がれば、売却価格も下がります。
一方、35年融資では残債がゆっくりしか減りません。その結果、売却価格が残債を下回り、売るために200万〜300万円を用意しなければならない状況が起こります。持ち続ければ赤字、売れば損失という状態です。借入が与信を圧迫すれば、自宅の購入や次の不動産投資にも影響します。医師が陥りやすい失敗の全体像は、年収1200万円の医師が破産危機|不動産投資4つの罠も参考になります。
この手の失敗が医師に集中する理由は、不動産投資はやめとけと言われる理由と、医師がカモにされる構造に整理しています。
まとめ
新築ワンルームマンション投資では、節税や融資の通りやすさではなく、経費を含めた収支と売却時の価格を確認すべきです。新築時点で利回りが低く、35年返済でも手残りがほとんどない物件は、家賃下落や一度の退去で赤字になります。
営業担当者の説明だけで判断せず、家賃が下がった場合の収支、残債の減り方、投資家へ売却できる価格まで数字で確認してください。正しい知識を持ち、利害関係のない相談相手を確保することが重要です。体系的に学びたい方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)もご覧ください。
よくある質問
新築ワンルームマンション投資はなぜおすすめできないのですか?
低い利回り、長期融資、家賃下落、売却先の狭さが重なり、保有中も売却時も資金を持ち出す構造になりやすいためです。融資が通ることと投資として利益が出ることは別問題であり、節税や始めやすさだけを理由に購入するのは危険です。
利回り4%の新築ワンルームを買うと収支はどうなりますか?
購入価格2,000万円・利回り4%なら年間家賃収入は80万円ですが、フルローンで30年または35年返済にすると年間返済額は約70万円で、手残りは年間10万円です。そこから保険や固定資産税、空室損失を払うため、満室でも収支はほぼゼロで、退去が発生すればすぐに赤字になります。
新築ワンルームマンションは売りたいときに売れますか?
売却先は基本的に投資家であり、家賃と利回りから価格を逆算するため、家賃が下がると売却価格も下がります。35年融資では残債の減りが遅いので、売却価格が残債を下回り、売るために200万〜300万円を用意しなければならない状況が起こり得ます。
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