医師の不動産投資で破産する理由|家賃保証の落とし穴

医師が不動産投資で失敗する大きな原因は、家賃保証や節税という言葉を信じ、売却まで見据えずに物件を買い増すことです。

今回紹介するのは、大手不動産会社から区分マンションを購入し、最終的に破産へ至ったある先生の事例です。家賃保証が付いていても、安定した利益が約束されるわけではありません。契約内容と収支、融資残債、売却価格を自分で確認する必要があります。

私は現役の整形外科医として不動産投資を実践していますが、医師の高い所得と与信は強みである一方、収益性の低い物件を連続して購入できてしまう危険もあると考えています。

目次

家賃保証付き区分マンションを13戸まで買い増した経緯

ある先生は約5年前、大手の不動産投資会社から紹介された大阪府の区分ワンルームを購入しました。購入価格は2,500万円、広さは18平米です。融資期間は35年で、家賃から運営費と返済を差し引いた毎月の手残りは約2,000円でした。

購入の決め手になったのは、大手企業という安心感、サブリースによる家賃保証、本業に支障が出にくいという説明です。さらに「所得税が還付される」「節税になる」と案内され、初年度には実際に税金が戻りました。

しかし、税金が戻ることと物件自体が利益を生むことは別です。初年度の還付を収益と捉えると、物件の本当の採算を見誤ります。節税の仕組みについては、医師の不動産投資は節税になる?減価償却の罠と「本当の節税」を解説でも詳しく解説しています。

その後、担当者から「翌年以降は還付が少なくなるため、今年も買えばさらに節税できる」と追加購入を勧められました。先生は1年に1戸、やがて1年に2戸、3戸と購入数を増やし、大阪府と東京都で合計13戸を所有するまでになりました。

家賃保証でも収入は減額される

転機は、所有する区分マンションで退去や空室が増えたことです。サブリース会社から、オーナーへ支払う家賃を減額したいという交渉が入りました。

先生は家賃保証を理由に抗議しましたが、契約書には状況に応じて家賃の減額を求める可能性がある旨が記載されていました。契約に同意している以上、「家賃保証」という営業上の表現だけで当初の賃料が固定されるとは判断できません。

最初は月5,000円の減額により、約2,000円の黒字が約3,000円の持ち出しへ変わりました。その後も減額交渉が重なり、13戸全体で毎月10万円以上の持ち出しが発生する状態になりました。

1戸ごとの赤字が小さく見えても、戸数が増えれば負担は積み上がります。満室時や当初賃料だけでなく、賃料が下がった場合にも返済を続けられるかを購入前に確認しなければなりません。

残債を下回る価格でしか売れない出口の問題

先生は区分マンションの収益性に疑問を持ち、売却を検討しました。購入価格2,500万円の物件には融資残債が約2,300万円残っていましたが、提示された売り出し価格は2,200万〜2,250万円程度でした。

実際に売り出しても売却は進まず、所有物件はいずれも残債より100万〜200万円ほど低い価格でしか売れない状況でした。売れば損失が確定し、保有を続ければ毎月の持ち出しが続きます。先生は弁護士へ相談し、最終的に破産することになりました。

不動産投資の利益は、保有中の収支だけでは確定しません。売却価格から融資残債などを差し引き、出口まで通算して判断する必要があります。詳しくは、不動産投資は出口戦略で決まる|「買う前に売り方を決める」究極の考え方をご覧ください。

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そもそも医師に不利な物件が集まる仕組みは、なぜ不動産投資はやめとけと言われるのか——カモにされる3つの構造で説明しています。

まとめ

この事例の問題は、区分マンションを購入したことだけではありません。月2,000円という薄い手残り、節税を理由にした連続購入、減額条項を含むサブリース契約、残債を下回る売却価格が重なったことです。

大手企業からの紹介や家賃保証は、物件の収益性を証明するものではありません。購入前に通常賃料、経費、返済後の収支、契約上の減額条件、融資残債の推移、想定売却価格まで確認してください。買える物件ではなく、保有と売却の両方で利益を残せる物件を選ぶことが重要です。

医師が不動産投資を始める際の基本は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。営業担当者の説明だけで判断せず、自分で数字と契約書を確認する姿勢が失敗を防ぎます。

よくある質問

医師が不動産投資で破産してしまう主な理由は何ですか?

家賃保証や節税という言葉を信じ、売却まで見据えずに収益性の低い物件を買い増すことが主な原因です。医師は高い所得と与信があるため採算の悪い物件でも連続購入できてしまい、赤字と残債の負担が積み上がって破産に至る場合があります。

家賃保証(サブリース)が付いていれば家賃収入は減らないのですか?

減る可能性があります。記事の事例では契約書に状況に応じて家賃の減額を求める可能性がある旨が記載されており、空室や退去の増加を受けて減額交渉が重なった結果、13戸全体で毎月10万円以上の持ち出しが発生する状態になりました。

赤字の区分マンションは売却すれば損失を避けられますか?

事例では避けられませんでした。融資残債約2,300万円に対し売り出し価格は2,200万〜2,250万円程度で、所有物件はいずれも残債より100万〜200万円ほど低い価格でしか売れず、売れば損失が確定する状況でした。利益は出口まで通算して判断する必要があります。

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