2025年の建築基準法改正により、安い中古戸建てを購入し、大規模なリフォームで高利回りを狙う投資手法の難易度が上がりました。特に注意すべきなのが、いわゆる4号特例の廃止・縮小です。
今後は、物件価格と想定家賃だけを見て中古戸建てを買ってはいけません。必要な工事が建築確認申請の対象になるか、新築時の書類が残っているか、工事後も融資と売却の道を確保できるかまで、購入前に確認する必要があります。
私は現役の整形外科医として診療を続けながら、2019年に不動産投資を始め、現在はアパート9棟・戸建て5軒を所有しています。年間家賃収入は3,000万円を超え、毎月200名以上の医師に不動産投資を指南しています。その実践者の立場から、今回の改正が投資判断をどう変えるのかを整理します。
2025年の4号特例廃止で何が変わったのか
従来、小規模な木造建築物には、建築確認における審査を簡略化する特例がありました。動画で扱った対象は、延べ面積200平方メートル以下、2階建てまでの木造戸建てなどです。
2025年から制度が大幅に縮小され、小規模な建物でも、新築時だけでなく大規模な修繕や模様替えを行う際に、厳格な審査と建築確認申請が必要になる場合が出てきました。
ポイントは、壁、柱、床、屋根といった主要構造部の半分を超えて手を入れる工事です。中古物件の再生で行われる全面的なリフォームや間取り変更は、この基準に該当する可能性があります。
床や壁の全面的な張り替え、和室から洋室への変更などを前提に収支を組むなら、工事内容を曖昧にしたまま買付を入れるべきではありません。法改正後は、リフォームの可否そのものが物件価値を左右します。
中古戸建て投資が高難易度になった3つの理由
建物全体に対する工事範囲が大きくなりやすい
複数戸のアパートでは、1室をフルリフォームしても建物全体の6分の1や8分の1にとどまり、大規模な修繕に当たらないケースが多くあります。
一方、戸建ては1戸で建物全体です。入居可能な状態へ戻すために床、壁、屋根などへ広く手を入れれば、主要構造部の半分を超える可能性が高まります。これまで一般的だった「安く買って大きく直す」という手法ほど、確認申請の影響を受けます。
古い物件ほど必要書類が残っていない
リフォームの確認申請を進めるには、原則として新築時の建築確認申請書が必要になります。しかし、築40年、50年と経過した戸建てでは、当時の書類が紛失していることが少なくありません。
書類がなければ、改めて調査や申請の準備が必要です。制度への対応経験が少ない時期は、行政の担当者や施工業者も判断に時間を要し、申請に数カ月、場合によっては半年から1年かかる可能性があります。その間は入居募集ができず、家賃を得られない機会損失が発生します。
無申請工事は融資と出口を狭める
手間がかかるからといって、必要な申請をせずにリフォームしてはいけません。違法建築と判断されれば、日本政策金融公庫、地方銀行、信用金庫、信用組合などからの融資が難しくなります。
融資が付かなければ、将来の買い手は現金購入者に限られます。投じた物件価格とリフォーム費用を回収できず、売却価格を下げなければならない状況にもなります。融資の基本は、不動産投資の融資はどの銀行で借りる?金融機関5種類を徹底整理でも解説しています。
法改正後に取るべき不動産投資の新戦略
2026年以降の中古物件選びでは、買付前の確認項目を増やす必要があります。
- 想定するリフォームが主要構造部の半分を超えるか
- 建築確認申請が必要な工事に該当するか
- 新築時の建築確認申請書などが残っているか
- 申請に必要な費用と期間を収支へ織り込めるか
- 工事後も金融機関の融資対象になり、売却できるか
注意が必要なのは戸建てだけではありません。たとえば6戸中3戸が空室の半空物件をまとめて改修する場合、建物の半分程度に工事が及び、大規模な修繕と見られる可能性があります。空室の多いアパートも、工事範囲を確認してから判断します。
仲介会社は取引を成立させる立場であり、購入後の運営や将来の売却まで責任を負うわけではありません。法改正を知らない担当者もいます。売主や仲介会社の説明だけで決めず、現地で工事箇所を確認し、制度を理解する施工業者や、実際に賃貸経営を続けている大家の意見を取ることが重要です。
築古の罠と勝ち筋については築古アパートの3つの罠と勝ち筋で詳しく書いています。
まとめ
4号特例の廃止・縮小によって、中古戸建て投資ができなくなったわけではありません。しかし、安く仕入れて全面的に直せば利益が出るという従来の常識は通用しにくくなりました。
物件を買う前に、工事範囲、確認申請、既存書類、申請期間、融資、出口戦略を一体で調べる。これが法改正後の新しい基本です。中古と新築の選び方については、医師の不動産投資、1棟目は新築か中古か?も参考にしてください。
私の投資経験を体系的にまとめた書籍は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)です。制度変更を踏まえて物件を精査し、購入後に運営でき、最後に売却できる投資だけを選びます。
よくある質問
4号特例の廃止で中古戸建て投資はどう変わりましたか?
2025年の建築基準法改正で4号特例が廃止・縮小され、小規模な木造戸建てでも主要構造部の半分を超えるリフォームに建築確認申請が必要になる場合があります。安く買って大きく直す従来の手法は通用しにくくなり、購入前に工事範囲や書類、融資、出口まで一体で調べることが新しい基本です。
建築確認申請が必要になるのはどのようなリフォームですか?
壁、柱、床、屋根といった主要構造部の半分を超えて手を入れる大規模な修繕や模様替えが対象です。戸建ては1戸で建物全体のため全面的なリフォームや間取り変更が該当しやすく、6戸中3戸を改修する半空アパートも大規模な修繕と見られる可能性があります。
必要な確認申請をせずにリフォームするとどうなりますか?
違法建築と判断されると、日本政策金融公庫や地方銀行、信用金庫、信用組合などからの融資が難しくなります。融資が付かなければ将来の買い手は現金購入者に限られ、物件価格とリフォーム費用を回収できず売却価格を下げざるを得なくなる恐れがあります。
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