不動産を1億円分所有していても、家賃収入で稼げているとは限りません。毎月のキャッシュフローが赤字で、売却価格もローン残債を下回るなら、その物件は資産ではなく実質的な負債です。
私は現役の整形外科医として不動産投資を実践しながら、毎月200名以上の医師に不動産投資を指南しています。その中でもよく見かけるのが、所有物件の総額は大きいのに、手元にお金が残っていないケースです。
大切なのは資産規模ではありません。家賃収入から経費と返済を差し引いた後に、いくら残るのか。そして、必要なときに無理なく売却できるのか。この2点で判断します。
資産1億円でも家賃収入が残らない理由
不動産投資には、区分マンション、一棟アパート、大規模な一棟マンション、戸建て、タワーマンションなど、複数の手法があります。どの手法を選ぶかによって、収益構造とリスクは大きく変わります。
たとえば3,000万円の区分マンションを4戸持てば、所有資産は1億2,000万円です。しかし、毎月の収支が赤字で、売却時にも残債を返せないのであれば、資産額の大きさに意味はありません。
特に新築や築浅の区分マンションは、表面利回りが4%や5%でも、管理費、修繕積立金、サブリース手数料などが差し引かれます。さらに融資返済を加えると、月数千円から1万円程度の持ち出しになることがあります。
購入時にはフルローンが組めても、売却時の買主が同じ条件で融資を受けられるとは限りません。買主に数百万円の自己資金が必要になれば、売却の難易度は上がります。業者の利益が上乗せされた価格で購入している場合、残債より200万円、300万円低い価格でしか売れないこともあります。
だからこそ、不動産は購入価格ではなく出口まで含めて判断します。詳しくは不動産投資は出口戦略で決まる|「買う前に売り方を決める」究極の考え方でも解説しています。
サブリースは家賃を固定する仕組みではない
区分マンションで特に注意したいのがサブリースです。営業時には「空室でも家賃が入る」「長期間にわたって家賃を保証する」と説明されることがあります。しかし、サブリースを契約したからといって、現在の家賃がそのまま固定されるわけではありません。
契約上は、オーナーがサブリース会社へ物件を貸し、サブリース会社が入居者へ又貸しする構造です。入居率の低下や周辺家賃の下落を理由に、サブリース会社から家賃の減額を求められる余地があります。
その一方で、オーナーが受け取る家賃からは毎月手数料が差し引かれます。つまり、通常時から収入を削られているにもかかわらず、将来の受取額まで確定しているわけではありません。
サブリース付き物件は、そのままでは売却しにくい場合もあります。専門業者へ相談して契約を解除し、より高く売却できる可能性もあるため、契約内容を確認せずに諦める必要はありません。
管理費と修繕費だけではない物件選びの注意点
区分マンションでは、築年数の経過とともに管理費や修繕積立金が上がることがあります。エレベーターの更新や外壁塗装など、大規模修繕の内容によっては追加負担も発生します。管理組合や業者へ任せきりにすると、積み立てた資金が効率的に使われないリスクもあります。
中古アパートや中古戸建てであれば安全というわけでもありません。初心者が特に慎重になるべき物件には、次の特徴があります。
- 高さ2メートルを超える崖や擁壁に関係する物件
- 物件の前まで車が入れない物件
- 修繕や解体の条件が読みにくい低利回り物件
擁壁の補修が必要になれば、大きな擁壁では1,000万円ほどかかることがあります。また、車が入れない場所では、建築資材や解体材を人力で運ぶため、工事費が上がりやすくなります。
高い利回りでリスクを吸収できる物件なら検討の余地はあります。しかし、車が入れない築古戸建てを利回り10%以下で買うような投資は、出口も厳しくなります。築古物件の確認事項は安い築古アパート投資の注意点3つ|医師があえて「築古」を狙う理由も参考にしてください。
まとめ
資産1億円という数字だけでは、不動産投資の成否は判断できません。確認すべきなのは、経費と返済後のキャッシュフロー、将来の修繕負担、融資条件、そして残債を上回る価格で売却できるかです。
物件価格の上昇によるキャピタルゲインだけに依存する投資も勧めません。家賃収入によるインカムゲインとのバランスを取り、相場が傾いても保有を続けられる物件を選びます。
不動産は、知識がなければ自分が儲かっているのかさえ分かりにくい投資です。購入前に収支と出口を数字で確認し、すでに赤字物件を持っている場合は、ダメージが小さい売却方法を検討してください。
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よくある質問
不動産を1億円分所有していても稼げないことがあるのはなぜですか?
毎月のキャッシュフローが赤字で、売却価格がローン残債を下回るなら、その物件は資産ではなく実質的な負債だからです。重要なのは資産規模ではなく、家賃収入から経費と返済を差し引いた後にいくら残るのか、そして必要なときに無理なく売却できるのかの2点です。
サブリースを契約すれば家賃は固定されるのですか?
サブリースを契約しても、現在の家賃がそのまま固定されるわけではありません。入居率の低下や周辺家賃の下落を理由に、サブリース会社から減額を求められる余地があります。さらに受け取る家賃からは毎月手数料が差し引かれ、将来の受取額も確定していません。
初心者が特に慎重になるべき物件にはどんな特徴がありますか?
高さ2メートルを超える崖や擁壁に関係する物件、物件の前まで車が入れない物件、修繕や解体の条件が読みにくい低利回り物件です。大きな擁壁の補修には1,000万円ほどかかることがあり、車が入れない場所では資材を人力で運ぶため工事費が上がりやすくなります。
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