資産価値が下がらない物件とは?医師の不動産投資で「負けない物件」を見極める4つの基準

「都心のタワーマンションを買っておけば、資産価値は下がらないから安心」——医師の先生方から、こうした相談をよくいただきます。たしかにブランドマンションは値下がりしにくい、というのは一面の事実です。しかし、「値下がりしないこと」と「資産が増えること」は全くの別物です。この記事では、資産を守るだけでなく増やしていきたい医師が選ぶべき「負けない不動産」の条件を、私自身の投資経験をもとに整理します。

私は整形外科医として働きながら不動産投資を続け、現在は週1勤務まで本業を減らし、アパート9棟・戸建て5軒、年間の家賃収入は3000万円を超えました。その経験と実績をもとに、いま毎月200名以上の医師に不動産投資を教えています。

目次

「値下がりしない物件」は「資産を増やす物件」ではない

一般に「資産価値が下がらない」と言われる代表格が、大手デベロッパーが手掛ける都心のブランドマンションやタワーマンションです。資産を守りたいだけなら、これは一部正解だと思います。しかし、資産を増やしたい現役の医師にとって最適かというと、私は微妙だと考えています。

理由はシンプルで、賃貸に出したときの利回りが非常に低いからです。家賃÷物件価格で計算する見かけの数字を「表面利回り」と呼びますが、ブランドマンションはこれが2〜3%程度になることが珍しくありません。豪華なモデルルーム、キラびやかなホームページ、丁寧な接客の営業スタッフ——あの購買意欲をかき立てる仕掛けの費用は、広告費・人件費・ブランド料としてすべて価格に上乗せされています。

表面利回り2〜3%の物件から、ローン返済、管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税などを差し引くと、手元に残るお金(キャッシュフロー)はほぼゼロか、毎月数万円の持ち出しになるケースすらあります。それでいて、数千万円という貴重な与信枠(銀行がその人に貸せる融資の枠)を使ってしまう。これでは金を生む資産ではなく、「高級な貯金箱」を買っているだけです。

医師が目指すべきは、銀行預金のような守りの投資ではなく、医師という属性の信用力を活かして資産を拡大していく攻めの投資のはずです。最初の一手でブランドマンションに与信枠を使い切ってしまうと、その後の拡大が止まってしまいます。

タワマン価格は「値上がり期待」に支えられている

「それでも、ここ数年で買った人は値上がりして含み益が出ているじゃないか」という反論はあると思います。事実、1億5000万円で買った物件が1億6000万〜1億7000万円になった、という話はあります。ただしそれは、インフレと円安が続き、海外の投資マネーが日本の不動産に流れ込んできた市況あってのことです。実際、過熱が報じられてきた都心の高級マンションの一部では、値下がりの動きが話題になり始めています。

治安が良く、食事もおいしく、四季があり、しかも円安で相対的に割安——日本の不動産が海外の方から見て魅力的なのはよく分かります。一方で、外国人による不動産取得への規制や課税強化の議論も出始めており、この流れがいつまでも続く保証はありません。値上がり益(キャピタルゲイン)だけを頼りにした投資は、こうした市況の変化に人生を左右されることになります。

しかも不動産は、持っているだけでランニングコストがかかります。固定資産税・都市計画税、融資の金利、5〜10年ごとのクロス(壁紙)や床の張り替え、場合によっては時代に合わせた間取り変更。家賃収入がこれらのコストで消えてしまう物件は、実態として「値上がりに賭ける投機」に近くなります。もちろん、相場1億5000万円のものを1億3000万円で買えるなら話は別ですが、定価で買って将来の値上がりを祈るのは、私にも、私が教えている先生方にもおすすめできません。

負けない物件の条件①:土地値が価格を下支えしている

では、どんな物件を選ぶべきか。私が一貫して主張しているのは、不動産の価値の本質は土地にあるということです。建物は年月とともに必ず傷んでいきますが、土地は劣化しません。だからこそ、物件価格のうち土地の値段(土地値)が占める割合が高い物件は、最悪の場合でも土地の売却でお金を回収できる——つまり「負けにくい」のです。

この観点で見ると、区分マンションは不利です。手に入るのは建物の一室と、細かく分割された敷地権だけで、土地そのものを自分の意思で活用したり売却したりはできません。一方、一棟アパートや戸建てなら土地ごと自分のものになります。私がマンションの一室よりも一棟アパート・戸建てをおすすめする最大の理由がここにあります。

負けない物件の条件②:表面利回りでなく「手残り」で判断する

次に利回りです。ここで大事なのは、表面利回りの高さだけで飛びつかないこと。家賃から返済・経費・税金を引いた後の手残り(実質のキャッシュフロー)がきちんとプラスになるかで判断します。経費には、修繕費や退去時の原状回復費、入居付けの広告料、固定資産税・都市計画税、共用部の電気代などのランニングコスト、そして所得税・住民税まで含めて考える必要があります。

参考までに、私の物件をいくつか挙げます。築50年の長屋6戸を1200万円で購入し、月18万円の家賃で表面利回り18%。築38年のアパート8戸は3480万円で月29万円、表面10%。いずれも土地値に対して割安に買えており、返済と経費を引いてもしっかり手残りが出ています。表面2〜3%のブランドマンションとは、キャッシュフローの構造がまったく違うことが分かると思います。

ひとつ注意点を添えると、築古物件は法定耐用年数を超えているため融資年数が短くなりやすく、その分毎月の返済が重くなります。表面利回りが高くても、融資条件次第では手残りが痩せる。だからこそ「表面◯%だから買い」ではなく、融資条件まで含めた手残りの計算が欠かせません。

負けない物件の条件③:需要が数十年続くエリアで買う

利回りが高くても、資産価値がどんどん落ちていくエリアで買うのは微妙です。目安になるのは、公示地価(国が毎年公表する土地の標準価格)が維持・上昇しているか、そして賃貸需要がこの先数十年は維持できそうかという2点です。人口動態や周辺の生活利便性から、「10年後、20年後もこの部屋を借りたい人がいるか」を想像してみてください。

あわせて見るべきは間取りと入居者属性です。そのエリアで求められている間取り(単身向けか、ファミリー向けの広い間取りか)と物件が合っているか、どんな人が長く住んでくれそうか。土地値・利回り・エリア需要・間取りを個別にではなく総合的に判断すること——これが「負けない不動産」の見極め方の核心です。

負けない物件の条件④:出口まで設計してから買う

最後が出口設計です。買う前に「将来いくらで、誰に売れるか」まで考えておきます。土地値が下支えしている物件なら、相場より安く買えた分がそのまま売却時の安全余裕になります。保有中は家賃で手残りを積み上げ、返済で借入を減らし、売却で自己資金を回収して次の物件へ——この循環に入れると、資産形成は加速していきます。値上がり期待だけのキャピタルゲイン狙いとは、同じ「不動産投資」でも中身がまるで違うのです。

まとめ:医師が資産形成に失敗する理由は「見えないもの」に惑わされること

  • 「値下がりしない」と「資産が増える」は別物。表面利回り2〜3%のブランドマンションは、与信枠を使う高級な貯金箱になりがち
  • 値上がり益頼みの投資は市況次第。ランニングコストを家賃でまかなえない物件は実質的に投機に近い
  • 負けない物件の条件は、①土地値の下支え ②表面でなく手残りで判断 ③需要が数十年続くエリアと間取り ④出口までの設計
  • 豪華なモデルルームや営業トークといった「見えない演出」に惑わされず、数字と土地で冷静に判断する

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