金融ショックに強い資産とは?家賃収入が暴落にもインフレにも負けない3つの理由【医師の不動産投資】

「史上最大の金融危機が迫っている」「現在の市場は世界恐慌の直前と酷似している」——最近、こうした見出しを目にする機会が増えたと感じませんか。実際に恐慌が来るのかどうかは、誰にも分かりません。私も予言をするつもりはありません。ただ、こうした不安が広がる時期だからこそ、「自分の資産のうち、どれが金融ショックに弱く、どれが強いのか」を冷静に点検しておく価値はあります。この記事では、現金・株・不動産を比べながら、私が「そこそこの立地の物件が生み出す家賃収入は、金融ショックの影響を最も受けにくい安定収入だ」と考える理由を整理します。

私は整形外科医として働きながら不動産投資を続け、現在は週1勤務まで本業を減らし、アパート9棟・戸建て5軒、年間の家賃収入は3000万円を超える規模になりました。毎月200名以上の医師に勉強会やコンサルティングを行うなかで見えてきた「危機への備え方」をお伝えします。

目次

なぜ「金融崩壊」の見出しが増えているのか

まず、不安を煽る見出しが増えている背景を整理します。根拠としてよく挙げられるのは、次のような点です。

  • 止まらないインフレ:人件費や建築費が高騰し、新築の坪単価は上がり続けています。身近なところでも、パスタは1500円以上、ラーメンも都内では1500円前後が珍しくなくなりました。
  • 金利の上昇:日銀の利上げを受けて、融資金利はじわじわと上がっています。仮に金利が0.4%上がると、1億円の借入なら年間40万円、1%なら年間100万円の支払い増。手残りに直接響く変化です。
  • 実体経済と離れて上がってきた株価:ここ数年、株価指数は大きく上昇し、数年で1.5倍〜2倍になった資産を持つ方も多いはずです。インフレ率が2〜3%の世界で、資産価格だけが年率二桁で上がり続けるペースがいつまでも続くのか——疑問を持つ人が増えるのは自然なことです。
  • 地政学リスク:戦争や国同士の対立など、世界情勢の不安定さが市場の緊張を高めています。

これらが過去の大きな暴落の前と重なって見える、というのが「恐慌前夜」論の中身です。繰り返しますが、実際に暴落が来るかどうかは誰にも分かりません。ただ、「来ても困らない資産構成になっているか」を確認することは、予言とは別の、今すぐできる備えです。

現金と株、それぞれの弱点を直視する

不安を感じたとき、多くの人が取る行動は「株を売って現金に戻しておこう」です。気持ちは分かりますが、インフレ局面では現金にも明確な弱点があります。物価が年3%上がる世界では、現金の実質的な価値は年3%ずつ目減りしていくからです。1億円の預金なら、何もしなくても実質で年300万円分の購買力が失われていく計算になります。通帳の数字は減らないので気づきにくいのですが、じわじわと確実に効いてくる損失です。

では株はどうか。株式は流動性が高く、毎日値段が付け直される資産です。それは平時には長所ですが、ショック時には短所に変わります。パニックが起きれば真っ先に売られ、3割、場合によっては半分近くまで下がることもありえます。私自身、現物株では500万円を400万円まで減らして撤退した経験があり、相場の下げ局面で個別株を持ち続ける難しさは身に染みています。

つまり、現金はインフレに弱く、株は暴落に弱い。この2つだけで資産を持っていると、インフレが進んでも金融ショックが来ても、どちらに転んでも削られる形になってしまうのです。

なぜ家賃収入は金融ショックに最も強いのか

ここからが本題です。私が「家賃収入(インカムゲイン)は金融ショックの影響を最も受けにくい」と考える理由は、大きく3つあります。

理由1:家賃は「実需」に支えられている

株価は投資家の期待で動きますが、家賃は「人が住む」という生活の必要で決まります。景気が悪くなっても、人は住む場所を手放しません。外食や旅行は削れても、家賃は生活費の中で最後まで削られない支出です。つまり家賃収入の源泉は、市場のムードではなく実需なのです。

理由2:家賃には「下がりにくい」性質がある

想像してみてください。過去に株価が大きく下げた局面で、大家さんから「相場が暴落したので、10万円の家賃を5万円にします」という連絡が来たでしょうか。そんなことは起きていません。むしろこの数年は、「家賃を5000円上げさせてほしい」という値上げ交渉を受けた人のほうが多いはずです。

家賃は入居者との契約で決まっており、毎日値段が付け直される株価とは値動きの仕組みがそもそも違います。バブル崩壊で地価が大きく下がった時代でさえ、家賃水準の変動は資産価格の暴落に比べてはるかに小さなものでした。この「下がりにくさ」があるからこそ、家賃収入は金融ショックの最中でも淡々と入り続けるのです。

ひとつ注意点を挙げると、この強さがフルに効くのは「そこそこの立地の、普通の人が住む物件」です。1泊の宿泊費や家賃が突出して高い超高級賃貸は、不況時に賃料が調整されることがあります。富裕層向けの贅沢需要は削られうる一方、普通の暮らしの住まいは削られない——防御力の源はあくまで実需だ、ということです。

理由3:土地という現物資産がインフレについていく

現金がインフレで目減りする一方、土地という現物資産は物価の上昇とともに価値が上がっていく側にあります。私は利回り10%を超える物件を中心に買っていますが、「そんなに利回りが高いのは、よほど辺鄙な場所では」と言われることがあります。実際は逆で、賃貸需要があり、土地の価値が下支えしてくれるエリアに絞って買っています。

実例を挙げます。私が1700万円で購入した築古の軽量鉄骨アパート(4戸)は、購入時から土地値以下の価格でした。現在は月17.6万円の家賃を生み、表面利回りは12%台。そして土地だけの価値を見れば、更地にした場合およそ5000万円ほどに上がっています。5年前にオーナーチェンジで満室のまま譲り受けて以来、空室は一度も発生していません。修繕も、台風でドアが壊れた分は火災保険で無償で直り、トイレの水漏れに10万円弱かかった程度。この間、金融市場が上げようが下げようが、家賃は毎月入り続け、借入の返済は進み続けました。

もちろん、表面利回りは家賃÷価格の見かけの数字にすぎません。修繕費・広告料・固定資産税・返済・税金を引いた後の手残り(キャッシュフロー)で判断する必要がありますし、物件選びを間違えれば不動産でも損をします。それでも、実需に支えられた家賃と、インフレについていく土地という組み合わせは、「インフレにも暴落にも同時に備えられる」数少ない資産だと私は考えています。

危機に備えるポートフォリオの中で、不動産をどこに置くか

誤解のないように書いておくと、私は「株をすべて売って不動産にしろ」と言いたいわけではありません。大事なのは役割分担です。

  • 現金:生活防衛と、チャンスが来たときに動くための待機資金。ただしインフレで目減りするので、必要以上に積み上げない
  • 株式:長期の成長を取りに行く攻めの資産。ただしショック時に大きく減ることを織り込んでおく
  • 収益不動産:相場に関係なく毎月入る家賃で、ポートフォリオ全体の「収入の床」をつくる守りの主役。土地の現物価値がインフレ対策も兼ねる

金(ゴールド)を思い浮かべた方もいるかもしれません。金は価値の保存には役立ちますが、持っているだけでは収入を生みません。医師の先生の場合、本業の収入も医療という実需に支えられています。そこに家賃という第二の実需収入を重ねておけば、金融市場が荒れても毎月の収入構造は揺らがない——これが、危機に備えるうえで私が最も重視している形です。

守りが固い人にだけ、危機はチャンスに変わる

そして、この「守り」を固めた人にだけ見えてくる景色があります。

もし本当に金融ショックが起きて、銀行が貸し渋りを始めたら市場はどうなるか。資金繰りに困った売主が、本来なら手放さないような優良物件を安値で市場に出してきます。ところが買いたくても、その局面では多くの人が融資を受けられません。銀行が「この人になら貸したい」と考えるのは、安定した収入と社会的信用のある人——医師をはじめとする高属性の方々です。周囲が投げ売りする局面で、信用力を武器に数少ない買い手側に立てる。過去の危機のたびに繰り返されてきた「富の移転」の構図です。

ただし、条件が2つあります。1つは、家賃収入という下支えがあり、暴落時にも自分の資金繰りが痛んでいないこと。守りが崩れている人は、チャンスの局面で動けません。もう1つは、安値で出てきた物件の良し悪しをパッと見て判断できる目利きがあること。相場の底がいつかは誰にも当てられませんが、「どんな相場でも、価値より安く買えば成り立つ」のが不動産投資です。逆に、目利きがないまま焦って買えば、危機はチャンスではなくただの落とし穴になります。

だからこそ、備えとは金や現金を抱え込むことではなく、家賃収入の土台をつくり、物件を見る力を養っておくことだと私は考えています。本や動画で学ぶことに加えて、いつでも相談できる経験者を味方につけておくと、判断の精度は大きく変わります。

まとめ

  • 「世界恐慌の再来」といった見出しが増えているが、暴落が来るかどうかは誰にも分からない。予言ではなく「来ても困らない資産構成」の点検が現実的な備え
  • 現金はインフレで実質価値が目減りし(年3%なら1億円で年300万円分)、株はショック時に3割〜半値の下落リスクがある。現金はインフレに弱く、株は暴落に弱い
  • 家賃収入は「住む」という実需に支えられ、契約で決まるため下がりにくい。そこそこの立地の普通の物件なら、金融ショックの最中でも淡々と入り続ける
  • 土地という現物資産はインフレについていく。家賃の安定+土地の価値で、インフレと暴落の両方に同時に備えられる
  • 守りを固めた高属性の人だけが、貸し渋り局面で買い手側に回れる。ただし前提は物件の目利き。焦って買えばチャンスは落とし穴になる

資産をどう配分するかは、ご家庭の状況やリスク許容度によって最適解が変わります。この記事は私の考え方の共有であり、特定の投資判断を勧めるものではありません。ただ、不安な見出しに振り回されるのではなく、実需に支えられた収入の土台を一つ持っておく——その安心感は、実際に持ってみると想像以上に大きいものです。

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