医師の不動産投資は「融資戦略」で決まる|銀行ランキングを追うと損する理由とプロパー融資の攻め方

不動産系のYouTubeを見ていると、「今この金融機関がアツい」「融資が出やすい銀行ランキング」といった動画をよく見かけます。現場のリアルな融資情報を知ること自体は、確かに大切なことです。ただ、その動画を見て、紹介された銀行に片っ端から電話をかけている——もしあなたが医師や年収1,000万円以上の高属性の方で、そういう動き方をしているなら、私は今すぐやめていただきたいと思っています。

こんにちは。不動産投資メンターのDr.いなせです。私は現在、アパート9棟と戸建て5軒を所有し、年間の家賃収入は3,000万円を突破しました。現役の整形外科医として今は週1勤務にまで働き方を変え、毎月200名以上の方々に不動産投資を教えています。この記事では、一般の投資家とはまったく異なる「高属性だからこそできる融資戦略」について、私自身の実例を交えて解説します。

なぜ「今アツい銀行ランキング」を真似してはいけないのか

2026年は金利の上昇局面に入り、金融機関の審査も明らかに厳格化しています。こういう時代に、サラリーマン投資家と同じ動き方をしてしまうと、高属性の方ほど損をします。理由は大きく2つです。

理由1:情報が出回った瞬間、融資枠は閉じ始める

「あの銀行が融資を出しているらしい」という噂は、投資家の間で驚くほど速く回ります。全国からサラリーマン投資家が殺到すれば、銀行はあっという間に融資枠(ノルマ)を使い切ります。その結果どうなるか。融資の一時停止、審査の厳格化、金利の引き上げ、自己資金の上乗せ要求——こうした方向へ一気に舵を切るのです。つまり、動画で紹介された時点で、その銀行の「おいしい条件」は閉まり始めていると考えたほうがいい。無知はコストです。知らずに後追いで殺到するほど、融資は降りづらくなります。

理由2:審査が緩い銀行ほど、金利は高い

ランキング動画で紹介されがちな「審査が緩い銀行」やノンバンクは、当然リスクを取る分、金利が3〜4%と高めです。よくあるパッケージ型のアパートローンがこれにあたります。属性や自己資金に不安があり、こうした扉を叩かざるを得ない人が一定数いるから、そこに投資家が集中するわけです。

逆に言えば、年収が高く、手元に500万円〜1,000万円以上の現金がある方は、その強みを最大限に生かす戦い方をしないと、もったいない。金利の高いパッケージローンで戦うのは、高属性の人にとっては明確に「損な選択」なのです。

高属性が狙うべきは「プロパー融資」と「上流の物件」

では、私たち高属性の投資家にとっての正解は何か。答えはシンプルで、プロパー融資を重視すること、そして最も上流で良質な物件の紹介を受けること。この2つに尽きます。

プロパー融資とは、信用保証協会などを介さず、銀行が自らのリスクで直接貸し出す融資のこと。パッケージ商品と違って、属性・物件・事業計画をきちんと見て個別に条件を組んでくれます。医師や高年収の方は、この土俵でこそ本領を発揮できます。金利が低く、自己資金も抑えられ、融資年数も長く引ける——同じ物件でも、戦う土俵を変えるだけで手残りがまったく変わってくるのです。

医師が当たるべき銀行の「順番」

まずは地方銀行(地銀)から

最初に当たるべきは、各都道府県にある地方銀行です。正直に言うと、地銀は平均年収くらいの一般サラリーマンにはなかなか融資を出しません。出したとしても金利が高かったり、自己資金を多く求められたりします。

ところが、医師や高属性の方となると扱いが一変します。特に開業医の先生は驚くほど優遇され、築古物件でも低金利で融資を引いてくることがあります。私自身、「羨ましいな」と思いながら見ているほどです。一般サラリーマンには出さないけれど、高属性・自己資金ありなら低金利で出す——地銀にはそういう二面性があります。だからこそ、最初のドアはここを叩くべきなのです。

ただし注意点もあります。どの金融機関も、基本は駅近や新築を出しやすい。関東近県の銀行のなかには、そもそも地方の物件が得意でないところもあります。1行断られても、それは物件やエリアとの相性の問題であることが多いので、必要以上に落ち込まないことです。

次に信用金庫・信用組合

地銀で難しかった場合の次の一手が、信用金庫・信用組合です。信金・信組は「地元の経営者、地元の企業、地元の人を応援する」というスタンスの金融機関です。たとえば、ある県の先生がその同じ県の物件を買うのであれば、全国区の銀行よりも、その地場の信金・信組のほうが金利が低く、自己資金も少なく、融資年数も長く出やすい傾向があります。

逆に、営業エリアから外れた物件は「対象外です」と門前払いになります。信金・信組を使うときは、「自分の生活圏・勤務圏のエリア内の物件か」をまず確認してください。

意外な伏兵、オリックス銀行(私の実例)

最近、私自身が「これは意外だった」と感じた実例を紹介します。オリックス銀行から良い条件の融資が出たのです。物件は、ある地方の政令指定都市の周辺エリア。価格9,000万円ほどの物件を、自己資金1割前後・長めの融資年数・低い金利という条件で購入できました。

正直、私のなかでオリックス銀行は「政令指定都市クラスの立地でないと出さない」「築20年前後より古いと難しい」というイメージがありました。それが良い条件で出てきたので、少し目から鱗でした。担当者との関係や紹介ルートも効いていたと思いますが、思い込みで候補から外していた銀行が実は使える、というのは十分にあり得ます。

「築古は融資が付きにくい」の正体──耐用年数と融資年数

高利回りの地方築古が融資を付けにくいとよく言われます。その正体は、法定耐用年数と融資年数の関係にあります。木造の法定耐用年数は22年。これを超えた築古は、原則として融資年数が短くなりやすく、短い年数で返すぶん毎月の元金返済が重くなり、手残り(キャッシュフロー)が出にくくなる——これが「築古は融資が付きにくい/付いても回らない」のメカニズムです。

ところが、医師や高属性の方であれば、この壁を越えて融資年数を長く引けるケースが実際にあります。地方の築古であっても、後述するように「土地と建物にきちんと価値がある物件」を選んで銀行に持ち込めば、新築とそう変わらない条件で融資が引けている受講生の方も珍しくありません。属性という武器を、耐用年数の壁を越える鍵として使うわけです。

金利は「家賃の何割を食うか」で考える

金利を語るとき、「2%か、2.5%か」と絶対値だけを見ても本質はつかめません。大事なのは、その金利が家賃収入の何割を食うのかという相対感です。ざっくり全額借入で考えると、こうなります。

  • 新築・表面利回り6%×金利2%:家賃に対する利息の割合は 2 ÷ 6 = 約1/3。つまり儲けである家賃の3分の1が、金利だけで吹き飛んでいく計算です。
  • 築古・表面利回り10%×金利2%:割合は 2 ÷ 10 = 1/5。相対的に金利の重みがぐっと軽くなります。

※これは初年度の利息を家賃で割った目安の考え方で、実際には元金返済も乗ります。それでも、「同じ金利2%でも、利回り次第で家賃を食う割合はまるで違う」という感覚は、投資判断で必ず持っておいてください。

そして忘れてはいけないのが、金利以外の経費です。固定資産税・都市計画税、空室時に家賃が入らない期間、退去のたびに発生する修繕・原状回復費——これらを差し引いた後の「手残り」で見て、はじめて実質利回りが見えてきます。表面利回りの数字だけで買ってはいけないのは、このためです。

新築・築浅と築古では「運営の手間」も違う

もう一つ、利回りの裏で見落とされがちなのが運営の手間です。新築・築浅に入居するのは若い方や単身者が中心で、細かい部分までよく見ます。最新の設備が揃っていないと競合に負けますし、修理要望への対応も細やかさが求められます。しかも入居期間が短く、退去のたびに「モグラ叩き」のように募集を繰り返すことになりがちです。

その点、私が好きな地方の築古はというと、家賃帯もあって細かいところまでは見られにくく、パッと見をきれいに整えれば入居が決まります。もちろん「パッと見」と言っても、アクセントクロスやキッチンのダイノックシート、照明といった差別化はしっかり施し、良い工務店(業者)ときちんと付き合ったうえでのこと。結果として入居期間が長く、運営が楽なのです。私の物件でいえば、21万円で買った築40年超の6DK戸建てを再生して月5.3万円・利回り30%超、築38年のアパート8戸(3,480万円)は月29万円・利回り10%で回っています。数字だけでなく「回しやすさ」まで含めて、私は築古に軍配を上げています。

「融資が出る物件=良い物件」ではない

最後に、いちばん大切なことをお伝えします。融資が出るからといって、良い物件とは限りません。最近、「保証協会付きの融資で、1億でも2億でも、買えるものはどんどん買っていきましょう」といった趣旨のことを言う人を見かけますが、それは不動産投資の本質ではないと私は考えています。「買える物件を買う」で破産した人を、私は実際に知っています。

たとえば5年前に相場なりの物件を買った人は、よほどひどい物件でない限り、今はある程度の利益が残っています。でもそれは市況が良かっただけ、言ってしまえば運の要素が大きい。運任せの投資なら、株を持つのと変わりません。私が伝えたいのは、市況が悪くても勝てる「経営者としての判断力」を身につけることです。

だから私は、土地と建物にきちんと価値があり、土地の価格が上昇傾向で、収益性もある——そんな物件を厳選して銀行に相談しています。良い条件で融資を引けているのは、この「物件を厳選してこだわる」姿勢があってこそ。融資戦略と物件選びは、常にセットなのです。

まとめ:属性という武器を、正しい土俵で使う

  • ランキング動画で紹介された銀行に後追いで殺到しても、枠は閉じ、条件は悪化している。真似は禁物。
  • 審査が緩い銀行ほど金利は高い。高属性の人がパッケージローンで戦うのは損。
  • 正解は「プロパー融資」と「上流の物件紹介」。当たる順番は 地方銀行 → 信用金庫・信用組合。エリア相性を必ず確認する。
  • 思い込みで外していた銀行(私の場合オリックス銀行)が使えることもある。
  • 金利は絶対値でなく「家賃の何割を食うか」で見る。表面利回りでなく、経費控除後の手残りで判断する。
  • 融資が出る=良い物件ではない。土地値・収益性・出口まで見て厳選する。

医師や高属性の方は、他の投資家が持っていない「属性」という強力な武器を持っています。問題は、その武器を間違った土俵で振り回してしまうこと。正しい銀行に、正しい順番で、良い物件を持ち込む。これだけで、あなたの不動産投資の結果は大きく変わります。

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