不動産投資の節税では、土地と建物の価格を根拠なく操作してはいけません。建物割合を大きくすれば減価償却費を増やせますが、過度な設定は節税ではなく脱税と判断される危険があります。
実際に、元医師が不動産投資を巡る7100万円の脱税で逮捕された事例が話題になりました。正しい対策は、土地と建物の割合を固定資産税評価額で按分し、説明できる形で申告することです。
私は現役の整形外科医として不動産投資を実践しています。不動産は扱う金額が大きいため、小さな判断の差が数百万円単位の結果につながります。税務でも目先の節税額を追うのではなく、根拠のある処理を積み重ねることが重要です。
不動産投資で減価償却が節税につながる仕組み
不動産の購入価格は、土地と建物に分けて考えます。このうち、減価償却の対象になるのは建物です。土地は時間の経過によって価値が減る資産として扱われないため、減価償却できません。
たとえば5000万円の物件について、土地3000万円、建物2000万円とします。築年数などに応じて建物を4年間で償却する場合、年間の減価償却費は500万円です。
年間家賃が200万円で、減価償却費が500万円なら、単純化すると帳簿上は300万円の赤字になります。個人で物件を保有していれば、この赤字によって税負担を抑えられる場合があります。現金が同額流出する経費ではないことが、減価償却の特徴です。
ただし、減価償却による節税は税金の支払いを先に延ばす性質を持ちます。減価償却を進めると物件の帳簿上の価値が下がり、売却時には譲渡所得が大きくなりやすいためです。保有中に税負担が軽くなっても、売却時の税金まで含めて判断しなければなりません。
建物割合を過度に増やすと脱税リスクが生じる
建物価格が大きいほど、計上できる減価償却費も大きくなります。そのため、節税を優先して建物割合を不自然に増やしたくなる人がいます。
たとえば1億円の物件を土地2000万円、建物8000万円として申告すれば、建物8000万円を基に減価償却費を計算できます。しかし、その割合に合理的な根拠がなければ、単なる節税策では済みません。
不動産投資の世界では、こうした処理をグレーな方法として捉える人もいます。しかし、周囲で行われていることと、税務上認められることは別です。金額が大きくなれば、脱税として問題にされ、逮捕に至る可能性もあります。
税務調査が少ないと思って強引な処理をするのも間違いです。個人の不動産投資は家賃収入や経費の構造が比較的分かりやすい事業ですが、だからこそ不自然な数字は説明しにくくなります。
安全な土地・建物按分は固定資産税評価額を基準にする
私が実践している方法は、土地と建物を固定資産税評価額の割合で按分することです。公的な評価額に基づくため、なぜその割合にしたのかを説明できます。
節税効果だけを見れば、建物割合を増やしたほうが魅力的に映るかもしれません。しかし、根拠の薄い按分によって税務リスクを抱える必要はありません。次の物件を購入する際は、売買価格の内訳を曖昧にせず、固定資産税評価額を確認したうえで処理します。
すでに建物割合を多くして申告している場合も、同じ考え方を無条件に続けるべきではありません。少なくとも次の購入からは、説明可能な基準へ切り替える必要があります。
税務だけでなく、物件選定でも情報を持つ側が有利です。特に築古物件では、価格や利回りだけで判断せず、建物の状態や運営まで確認します。具体的な判断軸は築古アパートの選び方|医師が確認すべき3条件でも解説しています。
節税を名目に売られる物件が割に合うかどうかは、不動産投資の節税が「嘘」と言われる理由を実例数字で検証した記事を先にお読みください。
まとめ
減価償却は、不動産投資における重要な仕組みです。ただし、建物割合を不自然に増やして赤字を作ればよいわけではありません。土地と建物は固定資産税評価額に基づいて按分し、売却時の税負担まで見通して判断します。
不動産業界では情報格差が利益の差になります。医療の常識だけで参入すると、税務、購入価格、売却条件などで足元をすくわれます。正しい知識を持ち、根拠を説明できる取引を続けることが、不動産投資で長く利益を残す条件です。
私が物件を取得する際の考え方と実践的なノウハウは、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。
よくある質問
不動産投資の節税で、土地と建物の割合はどのように決めるべきですか?
土地と建物の割合は固定資産税評価額で按分するのが安全です。公的な評価額に基づくため、なぜその割合にしたのかを説明できます。建物割合を根拠なく大きくして減価償却費を増やすと、節税ではなく脱税と判断される危険があります。
不動産投資で減価償却が節税につながるのはなぜですか?
減価償却の対象は建物で、現金が同額流出しない経費として計上できるためです。たとえば建物2000万円を4年で償却すると年間500万円の減価償却費となり、年間家賃200万円なら帳簿上300万円の赤字になり、税負担を抑えられる場合があります。
建物割合を大きくして申告するとどのようなリスクがありますか?
合理的な根拠のない建物割合で減価償却費を増やすと、脱税と判断される危険があります。実際に元医師が不動産投資を巡る7100万円の脱税で逮捕された事例もあり、金額が大きくなるほど問題になりやすいため、説明可能な基準への切り替えが必要です。
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