不動産投資のデッドクロスとは|減価償却と対策を解説

不動産投資のデッドクロスを避けるために最も重要なのは、減価償却による節税効果ではなく、減価償却が終わった後も利益とキャッシュフローが残る物件を買うことです。

デッドクロスは難しい税務用語に見えますが、仕組みは明確です。帳簿上は利益が出て税金が増える一方、融資返済によって手元の現金が不足する状態を指します。今回は、現役の整形外科医として不動産投資を実践する私が、初心者にもわかるように具体例を使って解説します。

目次

不動産投資のデッドクロスとは

デッドクロスを理解するには、まず減価償却を知る必要があります。減価償却とは、建物の取得価格を一定期間に分け、帳簿上の経費として計上する税金上の仕組みです。土地は対象にならず、建物部分だけが対象です。

建物には構造ごとの法定耐用年数があります。木造は22年、軽量鉄骨は厚みによって19年または27年、RCは47年です。これは建物が実際に使用できる期間を断定するものではなく、税金を計算するために国が定めた指標です。

減価償却費は帳簿上の経費であり、その年に同額の現金が出ていくわけではありません。そのため減価償却期間中は、現金が手元に残っていても帳簿上の利益を小さくできます。

しかし、減価償却期間が終わると、この経費を計上できなくなります。課税される利益が増える一方で、融資返済は続きます。税金と返済を支払った結果、手元資金が赤字になる状態がデッドクロスです。

2,000万円の物件で仕組みを計算する

具体例として、2,000万円の物件を購入し、土地と建物の価格がそれぞれ1,000万円だったとします。物件は法定耐用年数を超えた築25年の木造で、減価償却期間は4年です。

建物価格1,000万円を4年で割ると、年間の減価償却費は250万円になります。物件の利回りが10%なら、年間家賃収入は200万円です。家賃収入より減価償却費のほうが大きいため、ほかの条件を考慮しなければ帳簿上は赤字となり、家賃収入に対する税負担を抑えられます。

問題は5年目です。減価償却費250万円がなくなるため、家賃収入から固定資産税や火災保険などの経費を引いた利益に税金が発生します。

年間家賃収入が200万円、経費が50万円、融資返済が150万円なら、税引き前の現金収支には余裕がありません。そこへ税負担が加われば、帳簿上は黒字でも手元の現金は赤字になり得ます。これがデッドクロスの基本構造です。

減価償却による節税は税金の繰り延べ

減価償却を使えば、一定期間の税負担を抑えられます。ただし、単純に税金が消えるわけではありません。基本的には課税時期の繰り延べです。

先ほどの例では、4年間の減価償却によって建物の帳簿上の価値が減少します。その後に物件を売却すると、売却価格と帳簿上の価格との差が大きくなり、譲渡所得に対する税金が発生します。法人か個人かによっても扱いは変わりますが、減価償却だけを見て「得をする」と判断するのは危険です。

特に注意したいのは、「不動産を買えば減価償却で節税できる」と税効果ばかりを強調する営業です。不動産投資は、本来黒字を積み上げる事業です。節税のために赤字を作らなければ成立しない物件を選ぶべきではありません。詳しくは高所得医師の不動産投資|節税目的では失敗する理由でも解説しています。

デッドクロスを避ける物件選び

デッドクロスの影響を受けやすいのは、築年数に対して利回りが低い物件です。築古にもかかわらず利回りが7%や8%しかない物件では、もともとの運営余力が小さく、減価償却終了後の税負担がキャッシュフローを圧迫します。

一方、動画の例では、利回り10%以上を確保できる物件ならデッドクロスは起こりにくいと説明しています。ただし、表面利回りだけで判断してはいけません。

購入前には、少なくとも次の項目を確認します。

  • 構造と法定耐用年数
  • 築年数から算出される減価償却期間
  • 土地価格と建物価格の内訳
  • 減価償却終了後の税負担と融資返済
  • 家賃を維持できるか、空室を早期に埋められるか

築古物件を検討する際の視点は、築古アパートの選び方|医師が確認すべき3条件も参考になります。

あわせて読みたい

「節税になる」という説明が実際どうなるかは、不動産投資の節税は嘘か、ワンルームマンションの実例数字で検証した記事で検証しています。

まとめ

デッドクロスとは、減価償却の終了などによって帳簿上の利益と税金が増え、融資返済後の手元資金が赤字になる状態です。対策の中心は、節税手法を探すことではありません。減価償却がなくても黒字を維持できる収益性の高い物件を選ぶことです。

物件の構造、築年数、建物価格、減価償却期間を確認し、終了後の税金と返済まで計算してください。税効果は補助的な要素として扱い、賃貸経営そのものの利益を基準に判断します。

医師が不動産投資を始める際の考え方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。

よくある質問

不動産投資のデッドクロスを避けるために最も重要なことは何ですか?

減価償却による節税効果に頼るのではなく、減価償却が終わった後も利益とキャッシュフローが残る収益性の高い物件を選ぶことです。購入前に構造や築年数、建物価格、減価償却期間を確認し、償却終了後の税負担と融資返済まで計算して判断します。

不動産投資のデッドクロスとはどのような状態ですか?

減価償却期間の終了などによって帳簿上の利益と税金が増える一方で融資返済は続き、税金と返済を支払った後の手元資金が赤字になる状態です。帳簿上は黒字でも手元の現金が不足する点が特徴で、仕組みを理解するには減価償却の知識が必要です。

不動産投資の減価償却による節税は本当に得になるのですか?

減価償却で一定期間の税負担は抑えられますが、税金が消えるわけではなく基本的には課税時期の繰り延べです。売却時には売却価格と帳簿上の価格との差が大きくなり譲渡所得に税金が発生するため、税効果だけを見て得と判断するのは危険です。

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