この記事の結論
- 医師の節税は経費探しより、給与所得だけに頼る構造の見直しが本質です。
- 不動産所得は経費や減価償却など税務上の選択肢を広げます。
- 減価償却は節税でなく繰り延べ。売却時の税金まで通算して判断します。
医師の確定申告で重要なのは、計上できる経費を探し続けることではなく、給与所得だけに依存する構造を見直すことです。
高所得になるほど所得税と住民税の負担は重くなります。特に年収1,800万円を超える水準では、追加で得た収入の半分以上が税金として差し引かれることがあります。外勤で1日10万円を得ても、手元に残る金額は約半分という状況が起こります。
私は現役の整形外科医として勤務を続けながら、2019年に不動産投資を始めました。現在はアパート9棟・戸建て5軒を所有し、年間家賃収入は3,000万円を超えています。その経験から言い切れるのは、不動産投資は節税商品ではなく、利益を得るための事業だということです。その前提を守ったうえで、不動産所得には給与所得にない税務上の選択肢があります。
医師が直面する給与所得の限界
日本の所得税は累進課税です。収入が増えるほど税率が高くなるため、勤務医が外勤や講演を増やしても、労働時間に比例して手取りが増えるとは限りません。
私自身、前年の年収が1,800万円前後だった時期には、毎月の所得税が約23万円引かれていました。年収が1,000万円前後になると約8万円です。年収は1.8倍でも、所得税は約3倍でした。稼ぐほど税負担が重くなる仕組みを、実際の給与明細で実感しました。
アルバイト収入や講演収入の申告漏れを確認し、必要な経費を正しく計上することは当然です。しかし、小さな経費を積み上げるだけで高所得者の税負担を根本から変えることは困難です。給与所得という枠組みの中だけで対策することには限界があります。
不動産所得が確定申告の選択肢を広げる
不動産賃貸業では、事業に必要な支出を経費として計上できます。物件の調査や打ち合わせに必要な交通費、宿泊費、不動産業者や大家仲間との情報交換に伴う飲食費などです。
ただし、支出すれば何でも経費になるわけではありません。不動産事業との関係を説明できることが必要です。私的な飲食や旅行を安易に経費にする考え方は誤りです。事業に必要な支出を、根拠を残して適切に処理します。
また、規模を拡大する場合は法人で物件を所有する方法もあります。1棟目は個人所有でも、2棟目以降は法人を使うことで取れる手法が増えます。ただし、個人と法人のどちらが適切かは、保有物件や今後の拡大方針を踏まえて判断すべきです。
これから不動産賃貸業を始める方は、節税のテクニックより先に事業としての姿勢を整えてください。詳しくは医師の不動産投資の始め方|初心者が持つべき3つの事業家マインドで解説しています。
減価償却は節税ではなく税金の繰り延べ
不動産投資の税務でよく使われるのが減価償却です。たとえば5,000万円の物件について、土地3,000万円、建物2,000万円と分けたとします。法定耐用年数を超えた木造アパートの建物部分を4年間で償却する場合、毎年500万円を帳簿上の経費として計上できます。
年間家賃収入が500万円で、減価償却費も500万円なら、帳簿上の利益はゼロです。現金の支出を伴わずに経費を計上できる点は、不動産投資の大きな特徴です。
しかし、減価償却した分だけ建物の帳簿価額は下がります。先ほどの物件を後に5,000万円で売却し、帳簿価額が3,000万円になっていれば、帳簿上は2,000万円の利益が生じます。その利益には売却時の税金がかかります。
さらに、所有期間によって短期譲渡と長期譲渡に分かれ、税負担も変わります。動画で示した例では、2,000万円の利益に対し、短期譲渡なら約800万円、長期譲渡でも約400万円の税金が発生します。減価償却だけを見て「大幅に節税できる」と判断してはいけません。購入、保有、売却まで通算して考える必要があります。
節税を目的にすると物件選びを誤る
不動産投資の主目的は、節税ではなく利益を得ることです。節税を前面に出す販売会社は、減価償却のメリットを強調する一方で、売却時の税負担や出口について十分に説明しないことがあります。
税金が減っても、家賃収入が伸びず、売却も難しい物件を買えば投資としては失敗です。利回り、運営費、融資、売却可能性を確認し、利益を残せる物件だけを取得します。医師が営業提案を見極める際は、医師のワンルーム投資失敗の実例も参考になります。
節税額そのものが期待外れになるケースはワンルームの節税効果を実際の数字で検証した記事で数字を出しています。
まとめ
医師の確定申告では、目先の経費計上だけでなく、給与所得以外の収入を持つ視点が必要です。不動産所得には経費や減価償却を活用できる利点がありますが、減価償却は売却時の税負担まで含めて判断しなければなりません。
良い物件を取得し、家賃収入と売却まで含めて利益を確保する。その事業の結果として、税務上の選択肢も広がります。順番を逆にせず、節税ありきの提案には乗らないことです。
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よくある質問
勤務医が外勤を増やしても手取りが増えにくいのはなぜですか?
所得税が累進課税で、収入が増えるほど税率が高くなるからです。著者の例では年収1,800万円前後の時期は毎月の所得税が約23万円、年収1,000万円前後では約8万円と、年収1.8倍で所得税は約3倍でした。年収1,800万円を超える水準では、追加収入の半分以上が税金になることもあります。
不動産投資の減価償却で本当に節税できますか?
減価償却は節税ではなく税金の繰り延べです。償却した分だけ建物の帳簿価額が下がるため、売却時に帳簿上の利益が生じて税金がかかります。記事の例では2,000万円の利益に対し、短期譲渡なら約800万円、長期譲渡でも約400万円の税金が発生するため、購入から売却まで通算して考える必要があります。
節税目的で不動産を買うのは危険ですか?
節税を主目的にすると物件選びを誤りやすい、というのが記事の結論です。節税を前面に出す販売会社は、売却時の税負担や出口について十分に説明しないことがあります。利回りや運営費、融資、売却可能性を確認し、利益を残せる物件だけを取得すべきとしています。
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