都心の新築アパート投資が危険な理由|医師の物件選び

結論から言います。融資を使って資産形成を目指す医師が、都心の新築アパートを「立地がよく、きれいだから安心」という理由で買ってはいけません。

都心・新築・駅に近いという条件は魅力的です。しかし、重要なのは物件の印象ではなく、家賃下落や空室、修繕、金利まで含めた数字です。私は現役の整形外科医として不動産投資を実践し、毎月200名以上の医師に指南していますが、医師の与信を前提に販売される新築アパートには、収益性が不足している案件が少なくありません。

この記事では、都心の新築アパート投資が赤字になりやすい理由と、医師が選ぶべき物件の基準を解説します。

目次

1億円・表面利回り5%でも安心できない

典型例として、物件価格1億円、表面利回り5%の新築アパートを考えます。間取りはワンルームや1K、駐車場なし、駅から徒歩10〜15分程度です。新築では融資期間を30年まで延ばせる場合があり、自己資金500万円ほどで購入できるケースもあります。

業者のシミュレーション上は、年間キャッシュフローが20万〜30万円のプラスになることがあります。しかし、1億円の物件を30年融資で購入して、残るお金が年間数十万円しかない時点で余力がありません。

しかも、その計算は新築時の家賃が維持され、空室も修繕も発生しない前提になりがちです。現実には新築プレミアムがなくなり、8万円だった家賃が7万5,000円、さらに7万円へ下がる可能性があります。5年、10年と経過すれば、退去時のクロス交換などの修繕費も増えます。

家賃が下がる一方で支出が増えれば、当初わずかに出ていたキャッシュフローは簡単に消えます。動画内の現実的な試算では、20年後の累計赤字が1,000万円に達します。これは悲観論ではなく、低利回りで余力がない収支構造の問題です。

低利回り物件を買える人と医師では目的が違う

都心の新築・低利回り物件そのものが、あらゆる人に不適切なわけではありません。数億円規模の資産を持ち、現金で購入する富裕層や、相続税対策を優先する高齢の資産家には選択肢になります。

現金購入なら、融資金利を支払う必要がありません。たとえば1億円を借りて金利が2%前後なら、年間約200万円が金利負担になります。表面利回り5.5%で家賃収入が550万円あっても、そのうち約200万円が金利に消えます。さらに固定資産税、火災保険、修繕費、空室損失、不動産取得税、購入時や売却時の費用がかかります。

また、相続を目的とする資産家は、収益性よりも現金を不動産へ換えることによる課税資産の圧縮を重視します。融資を使って資産を増やしたい勤務医とは、購入目的が根本から違います。

医師は高所得者ですが、不動産投資の世界では一般投資家です。「先生には特別な物件が似合う」という営業トークではなく、自分の資産規模と目的を客観的に捉える必要があります。節税を入口に物件を勧められている方は、医師の不動産投資は節税になる?減価償却の罠と「本当の節税」を解説も確認してください。

医師が狙うべきは返済が進む高利回りの中古物件

私が医師に勧めるのは、ある程度利回りが高く、家賃がすでに下がりきった中古アパートや中古戸建てです。築20年を超え、家賃の下落率が小さくなっている物件を検討します。都市部でも、目安として利回り8%以上は欲しいところです。

中古物件では、融資期間が10年や15年と短く、自己資金を2割ほど求められる場合があります。3,000万円のアパートなら600万円、5,000万円なら1,000万円を入れるイメージです。自己資金は物件に一時的に置かれ、返済が進めば、売却時に残債との差額として戻る可能性があります。

融資期間は長ければよいわけではありません。長期融資では年間返済額が小さくなり、キャッシュフローがよく見えますが、残債が減りにくくなります。10年後に家賃が下がり、修繕費が増えたのに、売却価格と残債がほぼ同じでは身動きが取れません。

一方、短い融資期間でも収支が回る高利回り物件なら、返済が速く進みます。私が保有する物件にも融資期間10年のものがあり、返済後は土地と建物が残ります。買う前から売却や保有継続を考える重要性は、不動産投資は出口戦略で決まる|「買う前に売り方を決める」究極の考え方で詳しく解説しています。

あわせて読みたい

そもそも医師に不利な物件が集まる仕組みは、なぜ不動産投資はやめとけと言われるのか——カモにされる3つの構造で説明しています。

まとめ

都心、新築、駅に近いという言葉は、収益性を保証しません。医師が見るべきなのは、家賃下落、空室、修繕、金利、諸費用を織り込んだ後のキャッシュフローと、返済後に残る資産です。

  • 1億円の物件で年間数十万円しか残らない収支は余力がない
  • 新築家賃の下落と将来の修繕費を必ず織り込む
  • 富裕層や相続目的の資産家と、融資で資産形成する医師を混同しない
  • 高利回りの中古物件を数字で選び、返済と出口まで確認する

古い物件を怖がる必要はありません。修繕リスクを見積もり、管理できる物件を選ぶことが不動産投資家の仕事です。新築という見た目ではなく、利益が残る構造で判断してください。

物件選びの基本を体系的に知りたい方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)も参考にしてください。

よくある質問

医師が都心の新築アパートを買ってはいけないのはなぜですか?

融資を使って資産形成を目指す医師には向いていないためです。重要なのは立地やきれいさという印象ではなく、家賃下落や空室、修繕、金利まで含めた数字であり、医師の与信を前提に販売される新築アパートには収益性が不足している案件が少なくありません。

表面利回り5%の新築アパートでも赤字になる可能性はありますか?

あります。1億円・表面利回り5%の物件では年間キャッシュフローが20万〜30万円程度しか残らず余力がありません。新築プレミアムの消失で家賃が下がり修繕費が増えると収支は悪化し、現実的な試算では20年後の累計赤字が1,000万円に達します。

医師はどのような物件を選ぶべきですか?

家賃がすでに下がりきった築20年超の中古アパートや中古戸建てで、都市部でも利回り8%以上が目安です。融資期間が短くても収支が回る高利回り物件なら返済が速く進み、返済後には土地と建物が資産として残ります。

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