相続した土地にアパートを建てる罠|新築投資で勝つ本質

相続した土地にアパートを建てる前に、必ず土地と建物の合計額に対するリターンを確認してください。自己資金だけを基準にした利回りが高くても、土地の価値を含めれば収益性が大きく下がる場合があるからです。

私は現役の整形外科医として働きながら、2019年に不動産投資を始め、現在はアパート9棟・戸建て5軒を所有しています。年間家賃収入は3,000万円です。その経験から断言できるのは、新築か中古かを問わず、不動産は土地と建物に分けて評価しなければならないということです。

今回は「相続した土地へのアパート建築」を題材に、見せかけの利回りに惑わされず、不動産投資の本質を見抜く方法を解説します。

目次

相続した土地にアパートを建てるときの利回りの罠

土地を所有している人に対して、ハウスメーカーは「遊ばせておくのはもったいない」「相続税対策になる」とアパート建築を提案します。ここで注意したいのが、提示される利回りの計算方法です。

たとえば、所有する土地に1億円のアパートを建て、諸経費として自己資金300万円を投入し、残りの9,700万円を融資で賄うとします。年間のキャッシュフローが215万円なら、自己資金300万円に対する利回りは約71%です。

この数字だけを見れば、非常に魅力的な投資に感じます。しかし、この計算には土地の価値が含まれていません。

仮に土地の価値も1億円なら、実際に運用している資産は土地1億円と建物1億円の合計2億円です。年間215万円のキャッシュフローであれば、資産全体に対する利回りは約1%にすぎません。

土地は以前から持っていたから無料、という考え方は誤りです。売却できる土地を事業に投入する以上、その価値も投資額に含めて判断します。利回りの種類と計算方法を整理したい方は、不動産投資の利回りとは?4つの種類と計算式・目安をわかりやすく解説も参考にしてください。

物件価格を土地と建物に分解する

この考え方は、土地を相続した地主だけに必要なものではありません。中古の一棟アパートを買う場合にも、そのまま使えます。

たとえば3,000万円の物件なら、次のように分けて考えます。

  • 土地にはいくらの価値があるのか
  • 物件価格から土地価格を引いた建物価格はいくらか
  • 建物価格を建物面積で割った坪単価はいくらか

同じ3,000万円の物件でも、土地の価値が1,000万円なのか、2,000万円なのか、3,000万円なのかで資産性は大きく異なります。仮に土地だけで3,000万円の価値があり、建物を解体した後も更地として同程度で売却できるなら、土地価格が下支えになります。

反対に、利回りだけを見て土地の価値を確認しなければ、売却時に想定以上の損失が出る可能性があります。将来、建物を解体して土地として売るのか、新築に建て替えて保有を続けるのか。出口によっても買うべき価格は変わります。

不動産投資は購入時点で売却方法まで考える事業です。詳しくは不動産投資は出口戦略で決まる|「買う前に売り方を決める」究極の考え方で解説しています。

新築アパートが儲かりにくい構造

ハウスメーカーの新築アパートが儲かりにくい理由は、建築費に業者の利益が乗る一方、そのコストを家賃へそのまま転嫁できないからです。

建物の仕様に費用をかけても、入居者が主に見るのは築年数や広さです。割高な建築費が、そのまま高い家賃や高い稼働率につながるわけではありません。

特に、業者の提案どおりにワンルームや1Kを多く配置すると、当初は入居が決まっても、競合の増加によって家賃が下落する可能性があります。土地の価値まで含めれば、本当の利回りが極端に低くなるケースもあります。

もちろん、新築がすべて悪いわけではありません。地域の入居者ニーズを調べ、1LDKや2LDKなど広めの間取りを採用し、競合との差別化を図る方法はあります。ただし、土地に合った企画を自分で組み立て、必要な利回りから建築価格を逆算することが前提です。業者任せの新築は事業として成立しません。

土地を持たない医師は信用力を生かす

地主は土地という現物資産を担保に事業を行います。一方、土地を持たない医師にとっての大きな資産は、銀行から融資を引き出せる信用力と自己資金です。

私たち医師の基本戦略は、自らの信用力を基に銀行融資を活用し、土地と建物の価値を精査した優良な中古物件を買い進めることです。新築という言葉に安心感を求めるのではなく、取得価格、土地の資産性、建物価格、キャッシュフロー、出口を一体で判断します。

現金を銀行口座に置いたままにするのではなく、家賃を継続的に生み出す不動産の比率を高める。これが、私が実践している考え方です。

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医師がこうした物件を持ちかけられる背景には、構造的な理由があります。不動産投資はやめとけと言われる理由と、医師がカモにされる構造で解剖しています。

まとめ

相続した土地へのアパート建築では、自己資金に対する高い利回りだけで判断してはいけません。土地と建物の合計額を投資額として捉え、その全体に対して十分なリターンがあるかを確認します。

中古物件でも考え方は同じです。土地価格を算出し、建物の坪単価を確認し、解体後の売却や建て替えまで想定する。この思考を習慣にすれば、表面的な数字に惑わされるリスクは下がります。

不動産投資の判断軸を体系的に学びたい方は、私の著書初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)もご覧ください。

不動産投資で勝つ本質は、新築か中古かではなく、土地と建物を正しく評価し、投資額に見合う収益と出口がある物件を選ぶことです。

よくある質問

相続した土地にアパートを建てるとき、自己資金に対する利回りだけで判断してよいですか?

いけません。相続した土地も売却できる価値を持つ資産なので、土地と建物の合計額を投資額として捉え、その全体に対して十分なリターンがあるかを確認する必要があります。自己資金基準の利回りが高くても、土地の価値を含めると収益性が大きく下がる場合があるからです。

ハウスメーカーの新築アパートはなぜ儲かりにくいのですか?

建築費に業者の利益が乗る一方、そのコストを家賃にそのまま転嫁できないからです。入居者が主に見るのは築年数や広さであり、割高な建築費が高い家賃や稼働率につながるとは限りません。ワンルーム中心の間取りでは、競合の増加で家賃が下落する可能性もあります。

中古の一棟アパートを買うときも土地と建物を分けて評価すべきですか?

はい。土地の価値を算出し、物件価格から土地価格を引いた建物価格や坪単価を確認します。同じ価格でも土地の価値によって資産性は大きく異なり、解体後に更地として売却するか建て替えて保有するかという出口によって買うべき価格も変わるため、購入時点で売却方法まで考えることが重要です。

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