不動産投資で騙されないために必要なのは、知名度でも資金力でもありません。物件資料の違和感を見抜く知識と、契約前に事実を確認する習慣です。
今回は、ある元男優の方が中古アパートの購入をめぐってトラブルになった事例をもとに、不動産投資詐欺を避けるためのポイントを解説します。
私は現役の整形外科医として診療を続けながら、アパート9棟・戸建て5軒を所有し、年間家賃収入3,000万円の規模で不動産投資を実践しています。現在は毎月200名以上の医師に不動産投資を指南していますが、相談を受けるなかで、レントロールに違和感のある案件を目にすることは実際にあります。
芸能人が巻き込まれた不動産投資トラブル
問題となったのは、ある県にある中古木造アパートです。価格は1,800万円、表面利回りは約14%で、全8室のうち6室が入居中とされていました。
購入希望者は買付申込書を提出し、売買契約を結んで手付金300万円を支払いました。しかし、決済直前になって4室が一斉に退去することが判明します。6室入居と2室入居では、購入後の経営難易度がまったく違います。
購入を取りやめようとしても、契約締結後であれば買主都合の解約と扱われ、手付金を失う可能性があります。この事例でも300万円をめぐる問題となり、弁護士への相談に発展しました。
重要なのは、4室の退去が突然決まったとは考えにくい点です。通常、入居者は賃貸借契約に従い、退去の1カ月前または2カ月前に通知します。仲介業者が退去予定を把握していたにもかかわらず買主へ伝えていなかったのであれば、契約判断を左右する重要な情報を隠していたことになります。
レントロールの違和感を見逃さない
レントロールは、各部屋の家賃、入居時期、契約状況などをまとめた資料です。ただし、書かれている数字をそのまま信じてはいけません。
たとえば、次のような状態には注意が必要です。
- 特定の月だけ複数の入居が集中している
- 複数室の家賃が不自然なほど同額になっている
- 短期間に次々と入居が決まっている
- 契約から決済までの間に入居状況が大きく変わっている
これだけで満室偽装と断定はできません。しかし、偶然として処理せず、賃貸借契約書や入金状況、退去通知の有無まで確認すべきです。仮に業者が用意したダミー入居者であれば、購入後に一斉退去が起こり、想定していた収益は崩れます。
医師も同じ構造で狙われます。収入や社会的信用が高くても、不動産取引の経験がなければ業者との情報格差は埋まりません。詳しくは不動産投資はやめとけ?と迷う前に読む、カモにされる構造でも解説しています。
高利回りでも空室が増えれば収支は崩れる
表面利回りが約14%でも、家賃が入らなければ意味はありません。仮に融資返済が月15万円で、2室から得られる家賃が合計7万円なら、毎月8万円を本業の収入から補填することになります。
さらに、退去後には原状回復費がかかります。クロスや床の状態によっては1室10万円前後、長期入居後なら30万〜40万円ほど発生することもあります。6室を埋め直すには、募集条件の見直し、リフォーム、管理会社との調整が必要です。
空室の多い状態で売却しようとしても、買主は限定されます。1,800万円で購入した物件が1,400万円でしか売れなければ、売却時点で400万円の差が生じます。不動産投資では、契約前の一度の判断ミスが数百万円単位の損失につながります。
不動産投資詐欺を防ぐ3つの対策
契約前後の変化を確認する
買付時点だけでなく、契約時と決済前にも入居状況を確認します。退去通知が出ていないかを仲介業者と管理会社へ確認し、回答は記録に残します。
資料を横断して整合性を見る
レントロールだけで判断せず、賃貸借契約書、入居日、家賃、入金状況を照合します。不自然な入居の集中があれば、理由が説明できるまで進めません。
売る側ではない経験者に相談する
仲介業者は取引の当事者です。購入を決める前に、物件を販売する立場ではない経験者へ相談します。特に1棟目から3棟目までは、一度の失敗からの回復が難しいため、自己判断だけで契約しないことが重要です。
まとめ
不動産投資は、情報と経験の差が結果に直結する世界です。芸能人や医師であっても、退去通知やレントロールの見方を知らなければ、条件の悪い契約を避けられません。
入居状況の変化を決済直前まで確認し、資料同士の整合性を調べ、第三者の経験者に相談する。この3点を契約前の手順として固定すれば、不動産投資詐欺や満室偽装に巻き込まれる確率を下げられます。
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よくある質問
不動産投資詐欺や満室偽装を防ぐにはどうすればよいですか?
契約前後の入居状況の変化を決済直前まで確認し、レントロールだけでなく賃貸借契約書や入金状況との整合性を照合し、売る側ではない第三者の経験者に相談することが重要です。この3点を契約前の手順として固定すれば、詐欺や満室偽装に巻き込まれる確率を下げられます。
レントロールのどこに注意すれば満室偽装の兆候を見抜けますか?
特定の月だけ複数の入居が集中している、複数室の家賃が不自然なほど同額になっている、短期間に次々と入居が決まっている、契約から決済までに入居状況が大きく変わっている、といった状態は要注意です。偶然と処理せず、賃貸借契約書や入金状況、退去通知の有無まで確認します。
表面利回りが高い物件なら空室が増えても問題ないですか?
問題があります。表面利回りが約14%でも家賃が入らなければ意味はなく、たとえば融資返済が月15万円で2室分の家賃が計7万円なら、毎月8万円を本業の収入から補填することになります。さらに退去後の原状回復費や再募集の負担もあり、空室が増えれば収支は崩れます。
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