築45年、価格480万円、表面利回り15%の中古戸建ては、十分に投資対象になります。
ただし、年間のキャッシュフローだけを見ると、期待したほど利益が残らない可能性があります。今回の条件では10年融資を想定しているため、返済額が大きいからです。その一方で元金の返済が速く進み、売却時には自己資金を大きく増やせる計算になります。
私は現役の整形外科医として不動産投資を実践していますが、購入前には必ず、家賃収入だけでなく経費、融資返済、減価償却、売却まで含めて試算します。今回は、ある先生が購入した中古戸建てをモデルに、実際にいくら儲かるのかを解説します。
築45年・利回り15%の中古戸建ては投資対象になる
今回の物件価格は480万円、満室想定の年間家賃収入は72万円です。表面利回りは15%になります。利回り15%以上であれば、比較的短期間で投資資金を回収しやすいため、築45年でも十分に検討できます。
築古戸建てには、アパートとは異なる強みがあります。同じような間取りの競合が並びやすいアパートに対し、戸建ては物件ごとの個性が出やすく、ファミリー層の需要を取り込めます。入居期間が長くなりやすく、空室リスクを抑えやすい点もメリットです。
築45年だから修繕費が必ず高額になるとは限りません。築年数だけで購入候補から外すのではなく、建物の状態と修繕後の採算で判断します。
戸建てでは駐車場も重要です。ファミリー世帯では夫婦で車を1台ずつ所有するケースがあるため、2台以上、できれば来客用を含めて3台分を確保できる物件は競争力があります。
480万円の戸建て投資にかかる収入と経費
今回の試算条件は、自己資金20%、融資80%、金利1.6%、融資期間10年です。土地の評価額は200万円、建物の評価額は100万円としています。年間の固定資産税と都市計画税は6万1,800円です。
年間家賃収入72万円に対し、主な支出は次のとおりです。
- 管理費:約3万4,000円
- 原状回復費:年平均約1万6,000円
- 融資の元金返済:約35万円
- 融資の利息:約5万8,000円
- 固定資産税・都市計画税:6万1,800円
このほか、入居期間を3.5年、募集期間を2カ月、募集費用と原状回復費用をそれぞれ家賃1カ月分として織り込んでいます。購入初年度は仲介手数料、不動産取得税、登録免許税、司法書士費用、火災保険などが発生するため、税引後キャッシュはマイナスになります。
また、1980年築の木造住宅として、建物部分は4年で減価償却する想定です。4年目には約41万円を帳簿上の経費にできる計算になります。
年間の手残りが小さいからといって、この投資が儲からないわけではありません。10年という短い期間で融資を返すため、毎年のキャッシュフローよりも残債の減少に利益が蓄積されます。
本当の利益は売却時のマルチプルで判断する
今回、決済に必要な自己資金は約140万円です。5年後に購入時と同じ480万円で売却できた場合、税金を考慮しても自己資金は1.89倍になります。約120万円増えて戻る計算です。
10年後に同じ480万円で売却できれば、自己資金のマルチプルは3.3倍です。築55年になることを考慮し、売却価格を400万円まで下げても2.92倍となり、投入した自己資金は約3倍になります。
この結果を生むのが、銀行融資によるレバレッジです。自己資金を抑えて物件を購入し、家賃から元金を返済することで、売却時に残る金額を増やせます。
本業収入がある医師は、目先のキャッシュフローだけを追う必要はありません。5年後、10年後の売却で自己資金を増やし、次の物件へ再投資する設計ができます。融資を活用した資産配分については、不動産投資の融資枠1億円をどう使う?金利上昇時代の分散戦略でも解説しています。
築古戸建てを買う前に確認する3つのポイント
再建築できる道路条件か
高利回りでも、再建築できなければ出口が狭くなります。接道条件だけでなく、物件まで現実に車両が入れるかを確認します。道路が狭く解体車両や工事車両が入れない物件は、解体や再建築で想定外の費用が発生します。そのような物件なら、利回り20%以上など、リスクに見合う条件が必要です。
雨漏りとシロアリ被害がないか
内覧では天井の雨染み、床の沈みやふわつきを確認します。シロアリ駆除自体は5万〜10万円以内でできる場合がありますが、柱や床下の根太まで傷んでいれば追加工事が必要です。修繕費を見積もり、価格交渉に反映します。
修繕後も採算が合うか
築古物件に不具合があること自体は珍しくありません。重要なのは、雨漏りや床を直した後でも採算が取れる価格で購入することです。さらに、入居者に選ばれる内装へコストを抑えてリフォームし、競合との差別化を図ります。
築古を狙うときの注意点は安い築古アパート投資の注意点3つと、医師があえて築古を狙う理由にまとめています。
まとめ
築45年・480万円・利回り15%の中古戸建ては、年間キャッシュフローだけでなく、融資返済による残債の減少と売却益まで含めれば有力な投資対象です。5年後の売却では自己資金1.89倍、10年後に400万円で売却する想定でも2.92倍という試算になります。
購入判断では、利回り、道路と再建築の条件、駐車場、雨漏り、シロアリ、修繕後の採算を確認します。そして、保有し続けるだけでなく売却を組み合わせることで、自己資金と物件数を拡大しやすくなります。
医師が不動産投資を始める際の考え方は、初心者からはじめる医師の不動産投資(Amazon不動産投資部門1位)にもまとめています。
よくある質問
築45年・480万円・利回り15%の中古戸建ては投資対象になりますか?
年間キャッシュフローだけでなく、融資返済による残債の減少と売却益まで含めれば有力な投資対象になります。試算では5年後に購入時と同じ480万円で売却すると自己資金は1.89倍、10年後に400万円で売却しても2.92倍になります。
毎年の手残りが小さくても、この戸建て投資は儲かるのですか?
手残りが小さくても儲からないわけではありません。融資期間が10年と短いため返済額が大きく年間のキャッシュフローは小さくなりますが、元金の返済が速く進み残債の減少に利益が蓄積されるため、売却時に自己資金を大きく増やせる計算になります。
築古戸建てを購入する前に確認すべきポイントは何ですか?
再建築できる道路条件か、雨漏りやシロアリ被害がないか、修繕後も採算が合うかの3点を確認します。内覧では天井の雨染みや床の沈みを確かめ、修繕費を見積もって価格交渉に反映し、直した後でも採算が取れる価格で購入することが重要です。
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